歯科医師のための睡眠医学
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16821口腔顔面痛の状態と睡眠障害の関連口腔顔面痛機構 それぞれ異なった疼痛状態を含めた神経生物学的メカニズムを理解するために,メカニズムベースの疼痛分類構築に相当な努力が費やされてきた(図21-2).現在では4つの非排他的な疼痛が認識されている1.すなわち侵害受容,炎症性,ニューロパシー性,そして機能性の各疼痛である.臨床医もまた,多発性疼痛のメカニズムは慢性痛症のなかに共存しているかもしれないことと,時とともに変化していくかもしれないことを理解しておかなければならない.キーコンセプトは「疼痛は動的な過程であり,注意深い評価と再評価が図21-2 口腔顔面痛の種類.一次ニューロンは(1)三叉神経節内に存在し,一次求心神経線維が支配する.たとえば,咬筋など.(a)侵害受容性疼痛モデル:高強度で潜在的に組織損傷を起こす刺激(フラッシュ図)によって活性化されたイオンチャンネルと受容器(黒塗りの長円図)を通じて発生する末梢神経終末活動.(b) 炎症性疼痛モデル:末梢組織が損傷を受け(破裂図),炎症性細胞(例:マクロファージ,肥満細胞,神経向性顆粒球)が蓄積され,そして局所環境の変化へ寄与する.(c) ニューロパシー性疼痛モデル:損傷や疾病が体性感覚神経機構へ悪影響を及ぼす(フラッシュ図).たとえば末梢神経繊維の切断が,短期もしくは持続的長期な激しい反応のきっかけとなる.(d) ファンクショナルペインモデル:末梢組織は健康にみえる.しかし中枢神経機構の二次ニューロン(2)において疼痛の増幅(矢印)がある(中枢性感受性症候群).これら種類の疼痛は折り重ね合う.abcd侵害受容性疼痛炎症性疼痛ニューロパシー性疼痛ファンクショナルペイン

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