BPSパーフェクトマニュアル
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58PART 2①頬側部の封鎖②舌下ヒダ部の封鎖①唇側部の封鎖図4‐7 上顎よりも複雑な下顎総義歯の吸着メカニズム。 下顎の封鎖メカニズムは、上顎に比べ複雑で、主に4つのタイプの封鎖で成り立っている(図4‐7)。 ①青→内外側二重封鎖、②黄色→舌下ヒダ部にスポンジ状組織がある場合の内外側二重封鎖、③緑→後顎舌骨筋窩部の代償性封鎖、④赤→レトロモラーパッド部の内側の接触型封鎖(内側弁)と外側の舌の脇腹と頬粘膜の接触封鎖(外側弁)の4つである。 図4‐8は、開閉口時の舌の動きを示している。開口すると舌が後退し空間が現れ、この部位が封鎖の破壊されやすい場所であることがわかる。そして、その場所は舌下ヒダ部とレトロモラーパッド周囲部の2か所である。特に、舌側の舌下ヒダ部や後顎舌骨筋窩部は、舌の動きに伴って義歯床辺縁部に空間が生じやすくなるため、注意が必要である。一か所でも空気が漏れる場所が存在すれば封鎖は失敗し、吸着が得られず義歯が浮き上がることは誰にでもわかる簡単な現象である。 また、レトロモラーパッド部に関しては従来とはまったく違う考え方をしなければ封鎖が困難である。そのメカニズムを十分に理解したうえで、臨床を行う必要がある。本項ではできるだけレトロモラーパッドを変形させずに下顎閉口安静状態の自然な形を印象するFrame Cut Backトレーを使った概形印象法や、レトロモラーパッド上部での舌の脇腹と頬粘膜による封鎖を達成するためには、どのような点に注意をして、どのような各個トレーの設計線を描くべきなのかなども詳細に解説する。2‐2下顎総義歯の封鎖メカニズム第4章 吸着のメカニズムを理解しよう

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