インプラントファーストステップのためのQ&A135
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11「満足が得られやすい症例」の具体例は?「満足が得られにくい症例」の具体例は? 例を挙げると、下顎片側遊離端義歯が安定せず、痛みと異物感に悩まされている症例があります。この場合、「痛み」「異物感」のように、患者の要求がはっきりしているので、その点の解決に集中できます。 また、機能回復が得られれば、患者はさらに大きな満足を得られます。そのうえ、痛みに悩まされるという不快な状態からスタートしていますから、患者はその状態をベースラインとして治療結果を評価します。そのために、わずかな改善で大きな満足を得ることも可能であり、トラブルにつながるケースは少ないと言えます。 患者の要求が高いために診療が困難であったケースを紹介します。若い女性患者のケースですが、審美目的のために便宜抜髄をしたのちに陶材焼付冠で補綴した上顎前歯が歯根破折を起こし、痛みと動揺を主訴に来院しました。歯間乳頭は退縮し、歯根破折によって唇側面歯槽骨が吸収裂開し、排膿をともなっているなど、支台歯の保存が不可能なだけでなく、審美性の回復も困難となることが予想されました(図1‐1‐4a、b)。患者は破折前と同一水準以上の審美性を求めていました。しかしながら、粘膜や骨が一度失われると、骨増生処置などを行ったとし学的に簡単なケースであっても難症例と捉えたほうが良いと思われます。また、インプラントに対して過剰な期待を抱いている症例も難症例と言えます。図1‐1‐4a、b 前歯部審美障害の1例。診断用ワックスアップより作製したステント。顎堤欠損が認められ、審美性の回復が困難であることがうかがえる。Q1-1-3A1-1-3Q1-1-4A1-1-4スムースなインプラントの導入●ab

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