インプラントファーストステップのためのQ&A135
4/8

13なぜ上顎小臼歯部中間欠損がやりやすいのですか?なぜ下顎遊離端欠損がやりやすいのですか? 鼻腔底は犬歯より遠心では歯槽堤より内側に存在します。上顎洞底は小臼歯部で歯槽堤から離れて上方に行く傾向があります。そのため、小臼歯部はこれらの解剖学的構造物と干渉しづらいと言えます。 また、健全犬歯が残っている場合などは、天然歯に適切な側方滑走運動を付与し、インプラントに側方力を与えないようにすることも容易です。 さらに、手術部位が直接目視でき、頬粘膜も大臼歯部ほどは邪魔にならないなど、術野の視界確保も比較的容易です。そのうえ、前歯部にレストをおくこともできるため、ブレのない安全な形成が可能です。 ただし、近年の審美的要求の高まりにしたがって、この部位も審美領域と解釈されるようになってきています。そのため、患者の審美的要求が高い場合は、難症例として慎重に治療を行う必要がある場合もあります。その一方で、軟組織の反応が比較的良好で、歯間乳頭の再生が得られる場合もあるために、審美領域の処置の修練を行うような場合は、この部位が最適と言えます。 下顎遊離端欠損はインプラント希望症例としてもっとも多く遭遇する症例です。下顎遊離端欠損に関しては審美的要求が比較的低いことが多く、また、上顎と比較して、多くの場合で骨量が十分あります。同部の下方に存在する下歯槽神経は、損傷してしまった際の回復が困難という欠点はありますが、パノラマX線写真での診査で比較的正確な走行の把握が可能です。そのために上顎洞の診査が必要な上顎遊離端欠損と比較してリスクの回避が容易であると言えます。 一方で、隣在歯根の損傷に十分な注意を払う必要があります。術野の視界は多少悪く、形成部位をのぞき込むような姿勢になりがちです。また、小臼歯部にレストをおいて埋入窩を形成する場合、手首の動きによって形成中にバーの先端が徐々に近心に向かうことがあるため注意が必要です。 さらに下顎小臼歯の歯根は遠心に湾曲している例も多いため、隣在歯根の損傷にはとくに注意を払う必要があります。Q1-1-6A1-1-6Q1-1-7A1-1-7スムースなインプラントの導入●

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です