インプラントファーストステップのためのQ&A135
6/8

55インプラントを複数本埋入した際は、上部構造は連結すべきですか?インプラントと天然歯との連結は可能ですか? 一般的には連結するほうが有利と考えられています。連結冠の利点は、連結されたインプラント同士がお互いに回転防止として働くために、インプラントにとってもっとも危険とされる回転応力に対処できることです。また、上方からの食片圧入を防ぐことができることも利点です。 連結冠の欠点は、補綴物に高い精度が要求されることです。とくにスクリュー固定でロングスパンや多数歯連結の場合には、技工操作がかなり煩雑となる可能性があります。適合精度が不良だと、スクリューの締め込みによって非常に強い力がインプラントに加わるおそれがあるために、上部構造の破折やオッセオインテグレーションの崩壊を導く可能性があります。さらに、フロスを通すのが困難となることが多いため、鼓形空隙の清掃性が不良になることもあります。 原則としてインプラントと天然歯との連結は行いません。天然歯は歯根膜をもっているために生理的な動揺を有し、咬合力が加わった際に、その力に対し非線形に沈下することで応力を発揮して咬合力を受け止めます。 これに対して、インプラントは骨と直接接触するために、咬合力を受けた際のわずかな沈下量で十分な応力が発生します2。この違いにより、連結された天然歯は、インプラントに対して長いカンチレバー構造のポンティックのように作用すると考えられます。 インプラントと天然歯との連結の利点としては、インプラントの本数が少なくてすむために安価であるという点があります。しかしながら、それ以上の利点はほとんどなく適用は十分考慮する必要があります(図2‐4‐3)。Q2-4-2Q2-4-3A2-4-2A2-4-3図2‐4‐3 ブレードインプラントと天然歯を連結した症例。患者さんはインプラント部の違和感を訴えていた。満足のいく結果の提供●

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です