インプラントファーストステップのためのQ&A135
8/8

81埋入窩形成時の切削片の利点と欠点は? 切削片の利点としては、ほかの採取部位に侵襲を与えない点があります。切開も骨切削もすべて埋入手術にともなう作業であり、余計な手術時間がかかりません。また、採取した骨はすでに砕片となっており、ボーンミルなどで細かく砕く必要がありません。 その半面、採取量に制限があり、埋入部位の骨欠損が大きい場合や骨質が粗な場合は適量が採取できないこともあります。また、採取手技に由来する感染のリスクも報告されています1。 適応としては、Leckhorm & Zarbの分類におけるType1、Type2などの比較的緻密な骨質が向いています。採取される骨質は条件によって異なり、下顎でType1の骨では細胞成分をほとんど含まない骨片が得られます。また、上顎結節などからは骨髄などの細胞成分に富んだ海綿骨を得ることも可能です。 採取法には、主に2つの術式があります。ひとつは吸引フィルターを使用する方法です。この方法は、埋入窩形成時に骨を含んだ冷却用生食水を吸引し、フィルターで骨片のみを回収します。フィルターに創傷保護膜を使用すると回収効率が向上します。この方法による問題は、アシスタントが誤って唾液を同時に吸引した際に、唾液中の細菌が採取骨に混入する可能性があることです。これに対しては、唾液吸引と骨採取の2つのラインを独立させる方法で対処できます。 もうひとつは、非注水低速回転で切削し、バーに付着した骨片を回収する方法です(図3‐1‐2)2。細胞成分や成長因子を洗い流すことなく回収できることが利点です。そのため骨質が粗な症例や人工骨を併用する症例に向いています。また特別な器材が必要ないことも利点です。注意点は、オーバーヒートを防ぐために回転数を極力落とす必要があること、回転数を落とした際にハンドピースの固定がしっかりしていないとドリルが軸ブレを起こして埋入窩形成に不調をきたす可能性があることなどです。Q3-1-2A3-1-2800rpm800rpm50rpm50rpm50rpm50rpmabcfde図3‐1‐2 非注水低速回転での骨回収プロトコール2。一歩進めたインプラント治療●

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です