YB2012ここまで使えるコンポジットレジン
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14Part1 コンポジットレジン修復の成功・失敗,予後とは?CR修復の経年変化──成功と失敗長期間の機能性と審美性の維持 コンポジットレジン(以下,CR)修復は,現在う蝕治療の第一選択として臨床で広く用いられている.そしてここ数年,さまざまな雑誌にCR修復の関連論文が掲載されるようになり,前臼歯問わずCR修復の理論そしてテクニックに関する情報が臨床家に届けられるようになっている.審美性に富んだ症例も数多く紹介され,臨床家は,この芸術的ともいえる修復物の機能と審美性が持続し,長期間にわたり口腔内で維持されることがCR修復の成功と考える.しかし,なかなかその後の臨床経過を目にする機会は少ない.臨床家にとってこれらの症例の長期の臨床経過は非常に気になるところである. 今の時代のレジン接着材とCRを使用すれば,修復物の脱落や大きな破折が起こることはないが,一方で一般臨床家は,修復物周囲の褐線,辺縁破折そして脱落などのCR修復に関するさまざまなトラブルに遭遇し,結局のところ間接修復に移行してしまうことが多いとも聞く.セラミックスによる歯冠色修復と比較するとCR修復物自体の耐久性は劣り,セラミックスほどは長持ちしないことは明らかである.耐久性,すなわち長持ちしないというのは,経年的にCR表面に着色や変色がみられるようになり,また修復物辺縁部分の微小破折などのわずかなトラブルが発生するということである.ここだけに注目すると,CRは長期耐久性に欠け,暫間修復の域を脱しない修復方法と考えられてしまう.歯質・歯髄の保護 しかし,修復物のために健康な歯質を切削する間接修復とは異なり,CR修復はう蝕の範囲に合わせた治療が可能であり,その結果,歯質の切削量は格段に少なくなる.これは,患者にとって大きな利益である.アマルガム修復や鋳造修復など非接着性修コンポジットレジン修復の成功と失敗,そして長期予後をどう捉えるか?秋本尚武鶴見大学歯学部保存修復学講座連絡先:〒230‐8501 神奈川県横浜市鶴見区鶴見2‐1‐3Naotake AkimotoThink about Success, Failure and Long-Term Results of Resin Composite Restorations◆著者紹介1961年 神奈川県横浜市生まれ1986年 鶴見大学歯学部卒業 同第一歯科保存学教室助手1995年 博士(歯学)取得1996年 米国・アラバマ大学バーミングハム校歯学部バイオマテリアル講座留学(~1997年)2004年 鶴見大学歯学部第一歯科保存学教室講師2011年 同保存修復学講座(名称変更)講師,現在に至る◆主な著書『接着治療失敗回避のためのポイント45:なぜ付かないのか なぜ治らないのか』(小社刊)

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