YB2012ここまで使えるコンポジットレジン
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675コンポジットレジンを用いた天然歯再現へのチャレンジCase1 前歯部症例(図2) 2006年に前歯の歯冠破折部を再修復した症例である.これより3年前にCRを用いて修復したが,結婚を目前に控え,前歯部の審美的改善を求めて来院した.歯冠部の半分以上の欠損があり,唇側切端部より口蓋側歯頸部にかけての破折である.この症例でラミネートベニアにすると唇面のエナメル質の削除量が大きく,ラミネートベニアクラウンのような形態になるため,歯質保存を優先した.Case2 臼歯部症例(図3) 2009年,のアマルガム充填下に二次う蝕が認められ,CR修復した症例である.周囲のエナメル質に無数のクラックを認め,遠心隣接面にう蝕,その上部の辺縁隆線にも明らかな破折が認められた.残存する遊離エナメル質の保存を最優先に考えて,直接修復であるCRを用いて修復することにした.エナメル質の保存には細心の注意を払った.2.本症例でCRを用いる理由3.CRコンサルテーションの勘所Point 1 CR修復のもっとも良いところは,可及的に悪い部位のみを除去して,本来もっている歯の形態,とくに表層のエナメル質を最大限に残せる修復法であることを,まずはじめに説明する.Point 2 次に,歯の色についての説明を行う.修復する歯の色がどのような色や透明感を呈しているかを話して,そのためにはどのような材料を用いるべきか,またその材料により表現できる限界についても説明すべきである.Point 3 修復する歯の難易度についても説明する必要がある.欠損の大きさや部位,また欠損部位にどのようにアクセスするかによっても,直接修復のCR修復では難易度が異なる.Point 4 最後に,修復治療すべてにいえることかもしれないが,修復したものが一生保つとは限らず,CR修復では,部分修理や再修復時にも,残存歯質を犠牲にすることなく修復できることを説明する.図2 Case1の術前(2006年).旧CRをていねいに除去し,残存するエナメル質を可及的に保存した.遠心に残るピンも補強し保存した.唇面の半分,口蓋側の2/3が欠損している症例である.図3 Case2の術前(2009年).アマルガム充填を除去しただけでは,歯質の黒変は除去できない.最小限の削除で黒変や軟化象牙質を除去し,表層のエナメル質を可及的に保存した症例である.

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