バーティカルオグメンテーション
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4章1 術中の偶発症77【症例4-1-1】5番部インプラント埋入時下顎管圧迫原因下顎管上縁部の骨質不良(海綿骨D4~D5)の場合、インプラント形成窩のスパイラルバーの方向の不一致で下顎管穿孔し、神経、血管を損傷する(症例4-1-1a)。対処法下顎管穿孔の確認のためトライアルピン、プローブを挿入しデンタルX線写真、CTを撮影する(症例4-1-1b)。 疼痛、出血なしの場合は、神経・血管の損傷は軽度であるため、CTで確認し、適切な位置にインプラントを埋入する。 疼痛、出血ありの場合は、止血後、テルダーミスを穿孔部上縁に挿入し、ドリリング窩にPRFを填入する。そして、手術を中止して、ステロイドを投薬する1、2)。防止策上記のような場合の防止策としては、以下の5点が考えられる。① CTで歯槽骨頂から下顎管上縁2mmまでの垂直的距離を測定する。②各ドリリングバーにストッパーを設置する。③サージカルテンプレートを使用する。④ 5番部はオトガイ孔に向かってドリリングする(頬側側方面観の場合)。⑤超音波外科器具(ピエゾサージェリー)を使用する。5番部インプラント埋入時下顎管圧迫(症例4-1-1a~d)症例4-1-1a デンタルX線写真を撮影し、ドリリングが下顎管を穿孔していないかトライアルピンを挿入して確認する。症例4-1-1b ドリリング後、インプラント窩からの出血はなく、同時法でのVBAを終了した。デンタルX線でインプラント尖端が下顎管に接近している。麻酔消失後の麻痺の有無を確認することにした。症例4-1-1c 翌日の診査で、術後オトガイ、口唇の麻痺を確認。麻酔が残ったような感覚があり、安静位で口唇が一部開く1)。症例4-1-1d 翌日、インプラントを引き上げ、再びVBAを行った。術後オトガイ、口唇の麻痺は消失した。インプラント尖端の圧迫による一過性の麻痺であった。麻痺が継続する場合は、インプラントを撤去する2)。

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