インプラント長期症例成功失敗の分岐点
2/8

60はじめに ブローネマルクにより歯科にインプラントという新概念が導入されてから30年が経過し、今日また新たな時代が訪れている。つまり、インプラント埋入後のトラブルの発生と術後の患者の高齢化である。そこで私の26年間のインプラント歴を振り返り、その中で確認できた治療原則や新しい試みについてお伝えしたい。 1972~1990年までに同一歯科医がインプラントを行った176名の患者の後ろ向き追跡調査を行い、20年以上経過後の発生トラブルの種類とその対応について検証した結果から、以下の5点について論じる。1.ブローネマルクによる研究とデータから得られた原則はいまだにゴールドスタンダードである ブローネマルクは10年の経過観察に基づき、インプラント周囲の骨幅が2mm以上存在すれば、骨は安定すると報告している。その後に続くわれわれの臨床経験と実証研究は、ブローネマルクの言ったことを検証しているに過ぎない。 1990年頃において、ショートインプラントを用いることは、リスクが高いと考えられていた。当時、チャレンジ症例とみなされていたものも、今日まで25年以上口腔26年のインプラント経験、成功、生存、そしてトラブル:長期メインテナンスから学んだことRoy T. Yanase(OSCSCファウンダー)報告者:松下容子(Women Dentists Club 会員)●略歴南カリフォルニア大学歯学部、臨床教授として卒後研修に携わる。カリフォルニア州、ニューポート開業、アメリカ補綴学会ディプロマット、Osseointegra-tion Study Club of Southern California創立者、現・ファウンダーOSCSCを代表して被災された日本の皆様へ OJの10周年記念年大会に講演者として招聘いただき、大変光栄に存じます。3月の震災には大変な衝撃を受けましたが、日本の皆様の自己の利益だけを求めない態度に感動し、私たちは互いに手を取り合って生きていかねばならないと強く感じました。今回は、年次大会をチャリティーとして開催するという趣旨にも多いに賛同しましたので、私が所属しファウンダーでもあるOSCSCからも寄付させていただきます。どうか皆様、私たちもサポートしているということを忘れず、さらに前に進んでください。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です