インプラント長期症例成功失敗の分岐点
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84はじめに 自分の臨床の反省から歯科医師になって10年ほどして渡米し、そこでDr. G. KramerやDr. M. Nevinsに出会い、長期的臨床結果をもたらすための歯周治療を基本とした総合治療のコンセプト、知識、テクニックを教えていただいた。帰国後、大阪大学で16年間補綴を専門にしていた中村公雄先生と共同開業した。その後、矯正医の前田早智子先生も参加し、また筆者らの診療所の跡継ぎの松井徳雄先生、佐々木 猛先生なども加わり、互いの専門を生かしながらinterdisciplinary therapyを実践してきた症例を提示し、筆者らの考え方を今回講演した。適切な診断と治療術式の選択 歯周病によって破壊された口腔内は、プラークの停滞箇所が多く、患者によるプラークコントロールは難しい環境である場合が多い。また、患者によって歯周組織の症状、時期や部位によって病態が違うため、それらに対応するためには治療目的と治療のゴールを明確にしたうえで、治療術式の選択を行う必要がある。歯周治療として歯周組織の問題は、次に挙げる7つのポイントを診断時にチェックするように心がけたい1)。①深い歯周ポケット②骨の形態異常③根分岐部病変④歯肉歯槽粘膜の問題⑤歯肉縁下カリエス⑥歯牙の位置異常⑦歯槽堤の形態異常 また、歯周病によって破壊された口腔内の多くは不良補綴物、歯牙欠損、歯列不正など多くの問題が存在するインプラント外科・歯周外科の立場から小野善弘(Yoshihiro Ono)(貴和会歯科診療所顧問、JIADS 主宰、アメリカ歯周病学会名誉会員)●略歴1972年 九州歯科大学卒業大阪大学歯学部補綴第二講座入局1975年 大分県別府市にて開業1982年 ボストンのIADS入学。Dr. Nevinsに師事1984年 中村公雄とともにO-N Dental Clinic(現医療法人貴和会歯科診療所)を共同開業1988年 Japan Institute for Advanced Den-tal Studies(JIADS)開設1998年 銀座ペリオインプラントセンターを開設

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