インプラント長期症例成功失敗の分岐点
6/8

98はじめに 近年、ridge augmentationを用いたインプラント治療は、ほぼリサーチや新しい手法の開発が収束したと思われるほど充実しているが、ことsinus augmentationに関しては次々と新しい手法の紹介が続いている。患者治療の治療基準に照らしても低侵襲治療の流れが加速しているように、sinus augmentationにおいてもグラフトレス法の開発が多く行われている。 今回は血液を用いたsinus augmentationを検証し、この手法を用いた難症例への応用も報告したいと思う。Lateral Window ApproachによるSinus Augmentation 上顎臼歯部にインプラント埋入しようとすると、決まって骨量不足に直面する。抜歯後骨は水平的にまた頬側より骨が吸収するだけでなく、上顎洞の拡張によって垂直的骨量不足をきたす(図1)。Lundgrenら1)は、サイナス下の垂直的骨量は42%が4mm以下であると報告している。また、上顎臼歯は下顎に比べて骨質が軟らかくbone quality Ⅳである。この骨量不足を解決する方法として3つの手法が考えられる(表1)。 1つ目は、上顎洞周囲の骨を用いる方法である。上顎洞に沿って前壁、後壁(上顎結節および蝶形骨翼状突起)、外壁(zygoma implant)を用い傾斜埋入を行う。2つ目は、ショートインプラントを用いる方法である。3つ目は、上顎洞底挙上術である。この方法には、osteotome techniqueとlateral window approachがある。今回はlateral window approachについて、特にグラフト材の新しい取り扱いについて報告する。 Sinus augmentationは、今日もっとも多様性のある解血液を用いたSinus Augmentationに対する考察波多野尚樹(Naoki Hatano)(MAXISインプラントインスティテュート)●略歴1972年 日本歯科大学卒業1977年 波多野歯科医院開業1982年 医療法人慈皓会設立1993年 MAXISインプラントインスティテュート設立2003年 東北大学にてPh.Dを取得2004年 東京医科大学にてD.D.Sc.を取得2005年 東北大学大学院歯学研究科大学院非常勤講師2006年~2007年 日本歯科大学非常勤講師2008年~ 日本歯科大学附属病院臨床准教授

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です