インプラント長期症例成功失敗の分岐点
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106はじめに 複雑な欠損および著しく吸収した顎堤のインプラント症例において、補綴医は口腔外科専門医および歯科技工士との緊密な連携が必須となる。また、現在の潮流として、即時荷重あるいはCAD/CAMの応用が広く行われていきつつあることを踏まえると、補綴医‐歯科技工士‐口腔外科医は、術前‐術後‐補綴物装着までのさまざまな問題を前もって検討することは大きな意味を持つ。 インプラント補綴においても、過去から現在にわたり、明確な欠損状態に沿った補綴物デザインの分類およびマテリアル選択基準は確立されていない。 そこで今回は、もっとも難しいとされる上顎無歯顎の顎堤の吸収度合に合わせて、現時点で考えられる適切な補綴デザインの分類と治療順序を解説してみたい。1.インプラント補綴のための顎堤の分類 欠損歯列の補綴治療にあたり、患者の顎堤の崩壊程度を3段階に分類し、それに従いインプラント修復をともなう患者について、骨吸収の程度によってさらに詳細に分類した(表1)。 この分類では、口腔内の既存の歯列欠損状態により、少数歯欠損(minimal structural loss;edentulous gap)は1~2本の部分的な中間歯にインプラント埋入を必要とする症例とした。 多数歯欠損(moderate structural loss)は複数のインプラント埋入が特徴的な上下顎に及ぶ症例とした。なお、「すれ違い咬合(欠損)」とは、上下顎それぞれの反対側が片側遊離端欠損を呈している状態を示す。 無歯顎(major structural loss)は、水平的・垂直的に骨複雑なインプラント治療における連携治療上顎無歯顎への最適な補綴を目指して山﨑長郎(Masao Yamazaki)(東京S.J.C.D.最高顧問、S.J.C.D.インターナショナル会長)●略歴1970年 東京歯科大学卒業1974年 原宿デンタルオフィス開業

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