インプラント長期症例成功失敗の分岐点
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118はじめに 近年、補綴治療において注目されてきた分野のなかに、審美補綴やインプラント補綴などが挙げられる。今回のテーマの1つであるインプラント補綴において、前歯部を中心とした審美性が脚光を浴びている。また、良好な結果を得るために、インプラントの埋入位置や、埋入される環境をしっかり診査・診断し、歯肉退縮をはじめ数多くのリスクを考慮したインプラント外科が行われている。またインプラント補綴も、アバットメント形態・材料、そして上部構造体の形態と材料選択をよく考え、歯科医師と歯科技工士のチームアプローチによって作製されている。その治療結果は、通常のクラウン・ブリッジと遜色のない審美的な症例が講演会や誌上などで多くみられる。しかし歯科における「審美」は、単に審美的なものでなく「機能美」でなくてはならない。 一方で、臼歯部において、特に遊離端欠損では、咬合支持の観点からみて、インプラント補綴は、歯列弓の保全を図るうえで、非常に有利に働く。しかし、補綴主導の目から適正な位置にインプラントを埋入、あるいは埋入環境を良くするために、軟組織や骨組織の再生を図ったとしても、上部構造体を対合歯と適切に嵌合させ、咬頭嵌合位を安定させることができ、なおかつ下顎運動時に咬合干渉を引き起こさせないような咬合面形態を与えないと、臼歯にインプラント補綴を施す意味がない。特に、大臼歯欠損におけるインプラント補綴が担う役割は大きく、“Longevity”、特に力のコントロールの観点から非常に重要である。インプラント治療の目的 歯科臨床において忘れてはならないことは、日常臨床インプラント補綴“The Function”本多正明(Masaaki Honda)(大阪S.J.C.D. 最高顧問、S.J.C.D. インターナショナル副会長)●略歴1970年 大阪歯科大学卒業1972年~2003年 Dr. Raymond Kim(南カリフォルニア大学)に師事1973年~1978年 日本歯学センター勤務1978年 東大阪市にて本多歯科医院開設現在、S.J.C.D.インターナショナル副会長、大阪S.J.C.D.最高顧問、日本顎咬合学会指導医、日本臨床歯周病学会指導医

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