歯周-矯正治療 STOP&GO
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15Chapter1/こんな結果にはしたくない その結果,歯科矯正学的な治療方針としては,①非抜歯による配列を行う(ただし,第三大臼歯についてはすべて抜歯を検討)②保定となる. しかし,この患者のの歯槽骨の状態をエックス線写真で観察すると,他の部位と比較して,骨のレベルが低下していることが伺える(図1c).全体的に歯槽骨レベルが低下している患者であれば,容易に認識できるが,1,2歯に限局した歯槽骨レベルの低下は,見逃してしまう可能性がある.これを見逃し,患者への説明を行わなかった,あるいは,対処しなかったために,術前にはみられなかった審美的に好ましくない歯肉の状態になる,あるいは知覚過敏といった症状が誘発され,患者からクレームを訴えられることが考えられる. このように,成人に対して矯正歯科治療を行う場合は,若年者とは異なり,“歯周病”に対する配慮を忘れてはいけない.この“配慮”を忘れてしまった場合を想定してみる.可能性2/歯肉退縮を起こし,唇側の歯槽骨が一部なくなってしまう 結果B とくに下顎前歯や犬歯部によくみられる.歯冠が長くみえるだけでなく,知覚過敏が生じたり,ブラッシングによってくさび状欠損が生じることも多い.結果A 上下前歯部の歯肉が退縮してブラックトライアングルが生じることもある.可能性1/きれいに上下顎前歯が配列したにもかかわらず,ブラックトライアングルが出現

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