歯周-矯正治療 STOP&GO
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1こんな結果にしないために16結果C 34歳,女性.4年前に上下左右の第三大臼歯抜歯後,矯正歯科治療を非抜歯で開始.は,歯の移動がなかなか起きず,強い矯正力が必要といわれ治療を継続していた.その後,歯肉が発赤,腫脹したが,ブラッシングを継続したところ,徐々に歯肉が退縮しはじめたと主張している. 歯肉の上から歯根が透けてみえるようなことも多く,矯正歯科治療中に観察することもできる.望ましい対処法 歯並びがきれいになっても,可能性1~3のような状態にしてしまっては,矯正歯科治療が成功したとは決していうことはできない.ではどうすれば,このような状態を回避できるのだろうか.これが,“本書のテーマ”である. つぎにこのような症例に対しては,どのように接していくことが望ましいのか?正解は,“矯正歯科治療を行わない” ことを選択することである. インプラントを植立する場合の難易度を決定する要素の1つとして,“歯槽骨のボリューム”があげられる. そのこととまったく同様に,成人に対して矯正歯科治療を行う場合の難易度を決定する要素の1つとしても“歯槽骨のボリューム”をあげることができる.つまり,歯槽骨のレベルが高ければ,治療後に残る歯槽骨のレベルも高くなるからである.しかし,部分的な矯正歯科治療で用いる “挺出”や特殊なケースを除いて,治療可能性3/歯並びはきれいになったものの,歯槽骨の喪失によって歯を保存できなくなる 結果D 歯列は適切に改善されたものの,歯の支持組織が喪失すると,生理的な咬合力によっても歯列が乱れ保定期間が過ぎても歯列の安定は得られない.また図のような状態になると“保定”ではなく“固定”が必要となることや,歯を保存できなくなる場合も生じる.

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