歯周-矯正治療 STOP&GO
5/8

8484サインを見逃さない 矯正歯科治療中に,望ましくない変化が認められた際,その状況を無視して,治療を続行すべきかどうかの判断は,重要である. 大切なことは,①患者の訴えや歯肉から認められる“サイン”を見逃さない② 認められた“サイン”を,このまま放置して治療を続行すべきか,治療を中断して,他の治療を介入すべきかどうか,あるいは治療方針の変更を行った方がよいのかどうかの,“判断”をすることである. では,どのような“サイン”なのか?歯肉の発赤,腫脹 歯周組織に炎症がある場合(図1)に矯正歯科治療を行うと,歯根膜は再生せず,歯周組織の破壊が引き起こされることが知られている.そのため,プラークコントロールを行うことができなくなったと判断されれば,対応することが必要である.図1 歯肉の発赤,腫脹.矯正装置を装着すると口腔内の細菌数は必ず増加する.そのため正しいプラークコントロールの方法を治療前に伝えておかねばならない.2矯正歯科治療を中断する症例① エッジワイズ装置などの固定式装置を装着した結果,装置が複雑で技術的に患者がプラークコントロールできなくなった.このような場合,アーチワイヤーを撤去してブラッシングしやすい環境にし,適切な歯周治療を行いながら,炎症が治まるまで観察する.また,アーチワイヤーが挿入されていても,プラークコントロールを行うことができるよう,ブラッシング指導を再度行うことが必要である.保田 好隆

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です