インプラントYB2012
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165現在のインプラントに治療においては,治療計画におけるCBCT(cone-beam computed tomography)診断の重要性が増している.特に骨の吸収の著しい症例においては,インプラント手術の安全性を確保するためにも,術前の十分な診断・治療計画が重要である.さらに,治療計画どおりに正確にインプラントを埋入することを目的としたコンピュータ支援手術システムも開発が進み臨床応用が拡大しつつある.一方,上部構造に関しては,CAD/CAMにより作製されたチタンフレームワークが普及してきている.本稿においては,高度に骨が吸収した下顎無歯顎症例に対して,シミュレーションを基にしたExpertEaseシステム(デンツプライ三金社)の外科用テンプレートを使用してザイブインプラントを埋入し,それにチタン製フレームワーク(ISUS)のボーンアンカード・ブリッジを上部構造として装着した症例を報告する.はじめに症例69歳(初診時)・女性.上下無歯顎であり顎堤の吸収は著しかった.特に下顎床義歯の安定性はきわめて低く,患者はインプラントによる下顎の固定性の義歯を希望していた(症例1-a).CBCT撮影とSimPlantⓇ(マテリアライズデンタルジャパン社)による診断の結果,特に臼歯部においては著しい骨吸収像が認められた.また,インプラント埋入部位となる前方部の骨はオトガイ孔間の距離が通常の症例よりも小さく,固定性インプラント治療を行う場合には,力学的な配慮から最遠心のインプラントを遠心側に傾斜させるほうが有利であると考えられた.SimPlantⓇを用いて,最適と思われる部位へ4本のザイブインプラントの埋入シミュレーションを行った(症例1-b).本症例のように顎堤が矮小化している症例においては,位置的な安定性が確保できない粘膜支持型の外科用テンプレートは使用できない.そのため,正確な位置へのインプラント埋入には,骨面支持型の高度に吸収した下顎骨にExpertEase外科用テンプレートおよびISUSフレームを使用したインプラント症例井汲憲治(Ikumi, Noriharu)(群馬県高崎市開業:CICクリニカルインプラントセンター,(医)石倉歯科医院)経歴:1985年 東北大学歯学部卒業1993年 日本口腔インプラント学会認定医(現専門医)2000年 同・指導医現在 日本インプラント臨床研究会会長所属・役職:日本口腔インプラント学会,Academy of Osseointegration,日本歯周病学会,日本再生医療学会ザイブインプラントシステム

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