歯周抗菌療法 ―感染症医的な視点から―
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時間依存性と濃度依存性コラム de 感染症⑦58第部 抗菌薬 抗菌薬を内服すると血中に移行して体内のさまざまな組織に運ばれる.このとき抗菌薬の血中濃度をモニターしていると,抗菌薬の効き方に2種類あることがわかった.最小発育阻止濃度(mini-mum inhibitory concentration:MIC)を抗菌薬濃度が超えていなければ効きが悪いということは想像できるだろうが,その超え方が大切なのだ.ペニシリンなどのβラクタム薬やマクロライドなどはこのMICを超えている時間が長いほうが良く効く.これを時間依存性といって,モニターする場合はMICを超えている時間(time above MIC)を見る.抗菌薬は代謝されて体内から消えていく運時間MICMIC抗菌薬濃度時間抗菌薬濃度3回投与2回投与図1 時間依存性抗菌薬. MICを超えている時間(time above MIC,赤線の部分)が多いほうが効くので,左図のように投与回数が多いほうが望ましい.大量投与少量投与時間MICMIC抗菌薬濃度時間抗菌薬濃度AUCAUCCmaxCmax図2 濃度依存性抗菌薬. MICをどれだけ超えているか(Cmax)やどれだけ一気に投与しているか(area under the curve:AUC,ピンクの部分)が大きいほうが良く効く.そのため1回投与量が多いほうが望ましい.

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