今後の難症例を解決する総義歯補綴臨床のナビゲーション
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35総義歯のための解剖学図3‐10 側方から観察した顎関節(左側)。a:関節結節、b:下顎窩、c:下顎頭、d:外耳道、e:乳様突起。a.骨部①下顎頭 下顎骨下顎枝の後方の関節突起の上端を下顎頭と呼ぶ。下顎頭の上面は関節面となっており、線維軟骨に覆われている。 この軟骨直下の皮質骨は非常に薄く、その内部は細かな骨梁によって支えられている。 下顎頭は長軸をやや内方に向けた横長の楕円形をしており、その顎部内側の前面には外側翼突筋が停止する翼突筋窩が存在する(図3‐11)。②下顎窩 前方の頬骨弓の基部と後方の外耳孔の間に位置し、側頭骨の下面にある浅い横楕円形のくぼみを下顎窩と呼ぶ(図3‐12)。このくぼみの前縁はなだらかに隆起して、関節隆起、関節結節を形成する。関節結節は外側靭帯の付着部である。このくぼみの後方は、鼓室部の薄い骨が後壁となっている。この骨壁と下顎窩との移行部には、鼓室部と側頭鱗の癒合線である鼓室鱗裂が横に走行している。 鼓室鱗裂は内方では前方の錐体鱗裂と後方の錐体鼓室裂の2本の癒合線に分かれている。この錐体鼓室裂は、顔面神経の鼓索神経が頭蓋底に出る部位である。図3‐11 上方から見た下顎骨。 下顎頭の長軸は正中と直角ではなく、やや角度を持ち咀嚼運動時の下顎頭の前下内方への動きに対応している(※で示した角度に注意)。a:下顎頭、b:翼突筋窩、c:筋突起。図3‐12 下方から見た下顎窩。a:関節結節、b:関節隆起、c:下顎窩、d:鼓室鱗裂、e:錐体鱗裂、f:錐体鼓室裂。bacde※bacdefabc

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