今後の難症例を解決する総義歯補綴臨床のナビゲーション
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第9章214 図9‐40a~jでは、各種重合方法、重合温度の違いによる重合模型への適合状態を比較したものを示す。先に述べたように熱収縮による適合に関しては、加熱重合には限界があり、金属床の重合においては変形をもたらす。 しかし、イボカップシステムに代表されるように、重合収縮の補正、重合度の高さによる重合体の強度や緻密性においては常温重合タイプのそれを上回る。われわれ術者は、それぞれの重合システムの特徴を十分に理解し、その選択を行い、操作しなければならない。図9‐40a、b 100℃で重合した試料を後方から観察したところ。熱収縮0.62%(室温23℃としたとき)程度でこれくらいの浮き上がりを示す。ab表9‐9 各種重合方法別特性比較表特徴重合名レジン填入方式重合方法および時間使用レジン重合構造および重合方向重合収縮の補正熱収縮の補正適応石膏および硬化方法適応症長時間重合プレスタイプおよびショットキュアによる射出65℃/12時間各社市販の加熱重合タイプレジンすべて可能湿式加熱重合フラスコ外部から加熱不可石膏の硬化膨張による補正硬石膏+普通石膏(0.34~0.36%)湿気中2時間・レジン床タイプ ○・CPパーシャル ○・CPフルタイプ △イボカップ重合専用レジン射出100℃/45分専用レジン1色(透明あり)湿式加熱重合・ 6気圧加圧状態で唇頬側方向から加熱・ 重合完了まで随時レジン追加填入可人工歯位置移動 少ない石膏の硬化膨張による補正イボカップモデルマテリアル(製造中止)ジップストーンGH(0.5%)大気中硬化・レジン床タイプ ◎・CPパーシャル △ (多数歯欠損、床が両側に跨る場合 ×)・CPフルタイプ ×イントプレス重合専用レジン射出常温20分後55℃加圧下30分(パラマートプラクティックELT使用)専用レジン7色(透明含む)パラプレス・バリオ常温化学重合・ 重合完了まで60/bar加圧状態継続 重合方向の指定不可研磨面側に発現熱収縮がほとんどないため低膨張石膏を選択超硬石膏(0.08%)大気中硬化・レジン床タイプ ◎・CPパーシャル ◎・CPフルタイプ ○パラジェット改専用レジン射出常温加圧下25分後45℃加圧下60分(パラマートエリート使用)専用レジン7色(透明含む)パラプレス・バリオ常温化学重合・ 重合完了まで2.3気圧加圧状態継続 重合方向の指定不可研磨面側に発現熱収縮がほとんどないため低膨張石膏を選択超硬石膏(0.08%)大気中硬化・レジン床タイプ ◎・CPパーシャル ◎・CPフルタイプ ○DSシステム重合専用レジン射出短時間加熱重合70~100kgf/cmで3分間保圧専用レジンDSレジン(ヒートショックタイプ)乾式片面加熱重合・ 70~100kgf/cmの加圧状態で粘膜面模型側から均一重合・ 重合完了まで随時レジン追加填入重合収縮、熱収縮ともに粘膜面模型側から均一重合を開始。重合完了まで持続的保圧重合により、これら収縮は研磨面側に発現ニューラシオストーン(0.07%)大気中硬化・レジン床タイプ ◎・CPパーシャル ◎・CPフルタイプ △◎=最適、○=適応、△=やや適応、×=不可。

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