技工に強くなる本(下巻)
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66第4部 セラミックレストレーション4 - 5555 色合わせのエクササイズ 表面ステインを使ってクラウンの色を変えるには、ただ単に不足している色を足すだけでできません。色の修正というものは簡単にはできません。 焼き上がったポーセレンには、すでに選択したシェード特有の基本色が備わっています。そこに不足している色を足すと、歯の基本色に追加した色が混ざり合って、異なる色を生み出すことになります。そこで色を変える場合には、すでに与えられている基本色の上に補色を加え、色を一度打ち消すようにします。つまり色を中性化して基本色を消してしまうのです。このようにして無色化した上に再現したい新しい色を足していきます。以下に補色を利用した色の修正法を説明していきます。 この修正法には、歯科用に修正した減色システム(Subtractive system)を用います(図55‐1)。色彩学的に知られている減色のシステムでは、赤とシアン、青と黄、緑とマゼンタがそれぞれ補色の関係にあるのですが、これらの色をそのまま使用しても、歯の色は修正できません。黄と紫、赤と緑、またオレンジと青もまたそれぞれ補色同士になるからです。またこれらの色を混ぜると灰色になります。これがステイン用の減色システムです。そこで、ステイン用のパレットに黄と紫、オレンジと青、赤と緑、という順にステインを並べます。そしてこれらのステインに専用のリキッド(グリセリン液)を混ぜ、色素溶液をつくります。 この色素溶液はあまり薄すぎてはいけません。ステイン用の溶液は薄すぎると、ポーセレンの表面から流れ落ち、塗った部位を着色することができなくなります。図55-1 ステインでの減色。対応する色を合わせるとグレーになる。赤オレンジ黄青紫緑

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