矯正カンファランスで臨床力を上げよう
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84カンファランス仲間との症例検討第4章矯正カンファランス受講者のOB/OG活動伊藤 学而 “GPのための矯正カンファランス”は,すでに7期を終えて8期が始まっている.受講者のなかには1期だけ受講される方もあるが,2,3期続けて受講される方が多い.しかもその後も,特別講演があるときや,相談したい症例があるときには,OB/OGとしてスポット的に参加される方が少なくない.この先生がたによるOB/OG活動が始まっているのである. その一つが,仮称“ぬくもり塾”である.神奈川県横浜市で何人かのOB/OGが集まり,私にも声がかかって症例検討会を開催したり,長野県佐久市の受講者の診療室へ出かけて,特別講師や私と主治医とが一緒に患者さんを対診するというチェアサイド研修である.もう一つの活動は第1期の受講者に「北海道床矯正健康会」の会員がおられたことから,その例会の症例カンファランスに,私が年に2回参加することになったことである.彼らはほぼ毎月例会をもち,全員がメーリングリストでつながっていて常に交信し,見事なプレゼンをするという,すばらしいGP集団である. このようなすばらしいGPオルソの存在は,すばらしい専門医オルソの存在と無縁ではない.両者が交流し,ともに研鑽を積むことが地域におけるオルソのユートピアではなかろうか.カンファランスの輪を広げて神奈川県藤沢市 木村歯科医院 木村 悦子 平成16年に始まったバイオデント社の“GPのための矯正カンファランス”に,私自身は第1期から第3期まで参加した.記念すべき第1回のときには,そこにいる先生がたの誰もが何もかも初めての経験であった.そして毎回提出されるいろいろな症例について,ともに討論してきた先生がたと知り合えたことは,カンファランスを通じて得られた多くの知識とともに私にとってかけがえのないものとなった. カンファランスをとおして,現代の子どもたちを取り巻く環境が子どもたちの発育にいかに大きくかかわっているかということを,私を含め参加者全員が切実に実感できた.私たちはGPとして日々診療にあたっている.年齢とともに変化していく子どもの,口腔内での歯の石灰化,萌出,歯列,歯槽骨の状態のみならず,顎骨の成長,摂食,咀嚼,嚥下,呼吸,姿勢などを定期的にチェックできる.それらの異常の兆候をみつけて,いかに軌道修正していくかを考える機会を,つねに与えられている. カンファランスの輪を広げて,いろいろな分野で活躍されている先生がたのお話を聞き,それらを基に自分たちの診療所で,あるいは校医,園医として,1歳半,3歳,就学前検診などの地域の保健活動を通じて,さまざまな場所でいろいろな問題に対応することができるよう努力することも,GPとしての役割のひとつだと考えている. 2年前,子育て真っ最中のOBの先生に一家で参加していただき,現代の子どもたちを取り巻く生活環境,とりわけ食生活について忌憚のない話を聞く機会をもった.さらに,生後10か月のご子息に固いおせんべいを持ってもらい,行動を観察させてもらった.前歯しか萌出していない彼は顎や,舌,口唇などを巧みに使いながら,おいしそうに食べて,飲み込んだ.それらの動きは想像をはるかに超え,口腔周囲の機能はこのようにして獲得されるのだということを,間近で実感できる貴重な経験となった. また昨年7月には,金 俊煕先生(愛媛県松山市開業)を招いて,哺乳,離乳食について,歯科医師としての立場から考えていく勉強会を開いた.実に考えるべきことの多い内容であった.“ぬくもり塾”移動カンファランス in 佐久(2010年2月19日).前列右端が筆者.

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