矯正カンファランスで臨床力を上げよう
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40臨床医に勧める筋機能療法と矯正装置第3章 基本的には舌の動き(低位舌,舌突出癖,舌小帯短縮症など),嚥下時の咬筋の動き(成人嚥下)などを主体に観察する.トレーニングルーム(当院ではスタッフルームを利用)で,せんべいを実際に食べてもらい観察する.姿勢,摂り込み,噛み方,飲み込み方を観察し主訴との関連性を確認する.このとき,食べている様子をビデオ撮影し,家族と一緒に観ながら食べ方と話し方のチェックをする(図5).1 姿勢(食べている時の全身の動きを見ながら観察):足がぶらぶらしている・顔がよく動く2 ぺチャぺチャ噛みで歯を使用しないで舌でつぶしたり,クチャクチャと音を立てる食べ方(チョッピング)で,口唇は開いたままの咀嚼がみられる3 ほおばり過ぎて,十分な咀嚼や正しい嚥下ができない4左右のいずれか片方でばかり噛む5 食べこぼしがみられ,口の周りに食べかすが残り,口唇をよくなめる6舌から先に食べ物を迎える7口唇,頬圧,首の力を借りて飲み込む(異常嚥下)8 嚥下時,舌を前方に押し出す9 舌足らずな話し方でサ行,タ行などに構音障害がある(舌小帯短縮症)※実際にはさまざまな多くの問題が観察されるが,主訴との関連性をただちに断定せず,本人(家族)の気づきを促すことが動機づけになる.本人の自尊心を傷つけたり,親子の関係で「責任の押し付け合い」にならないような配慮が大切である.1口呼吸は,口唇閉鎖不全を引き起こす(①).2 舌を左右側方(②),挙上(③),前方に動かしたり(④),上顎に押し付け持ち上げる力をみて運動の評価をする(図6参照).側方運動では,舌尖が左右口角にしっかり付くかどうか,前方運動では口唇を越えるかどうかで舌小帯短縮症の有無を評価できる.3 舌を挙上し,舌打ちができるかどうか(ポッピング:⑤)は,嚥下時の咬合の有無(⑥)と合わせて,正しい嚥下が行われているかどうかの機能の評価につながる.話し方,食べ方,飲み込み方を観る舌の運動と口腔機能を評価する(図6)[舌の運動と口腔機能の評価(図6)][VTRを観ながら食べ方のチェック(図5)]※この時点で個々の症例に対して「MFT」の関与計画(MFT+経過観察,MFT+矯正治療)を立案する.①口呼吸がある②舌が左右口角に触れない③舌が上唇に触れない④「べー」と前方に出せない⑤ポッピングができない⑥嚥下時,臼歯を咬まない

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