知りたい・聞きたい歯科矯正
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86メカニクスに関するQ&APART 2上顎の正面観咬合平面の歪みは,ワイヤーで治すことはできますか?Aワイヤーだけでは難しい…上顎ことQ8uestion槇:私見ですが,あまり期待しないほうがいいなと.複雑なベンディングを加えて,顎間ゴムを引いて何とか治療を進めたこともありますが,あまりうまくいきませんでした.とても時間がかかり,満足いく結果ではありませんでした. 歪みの原因もわからずにやっていたからでしょう.原因がわかれば,もっとアタックするところも違ったのかもしれない.複雑なセカンドオーダーを加え,頭の中ではこういうふうに階段状になってくれると思うけれど,無理でした(笑).中島:当然それはアンカレッジがどこにあるか….槇:そうです.連鎖の影響なども読み切れなかったのです(笑).中島:基本的にワイヤーだけで治すことは難しい,できないと思います. 槇先生と同じように,なぜそういうふうになってしまったかという原因を考える,ということですね.それはスケルタルなことも考えられるし,機能的なこととかあるし,最初にやるべきことは,ワイヤーではなくて機能的な問題を改善することです.その筋神経機構のもっともバランスのいい場所を選んで安定させます.そのあと,バイオテンプレートをアンカレッジにして,問題のあるほうをワイヤーとゴムで治していく.そういう2段階が必要になってくると思いますよ.槇:正面からみて咬合平面が歪んでいる.つまり,どちらかが上がって,どちらかが下がっているというのは難しい. 要は,骨格性の変形症がかなり疑われるので,その範囲をよく見極めた上で,もちろんセカンドオーダーベンドをかけて,圧下しながら,逆に下顎を挺出させるとかということはやりますが,あまりにひどい咬合平面の歪みは,ワイヤーではなかなか治せないと考えたほうがいいのではないでしょうか.中島:咬合平面がそのように歪んでいる場合,一見軽い歪みでも単純にワイヤーだけでそれを達成できるということではないと思います. 具体的なメカニクスとしては,それが長期の場合には,PNF*とバイオテンプレートを併用して,機能的な問題を解決してから,ワイヤーとゴムで治療します.骨格性の問題があり,明らかに範囲を越えていれば,外科的な手法も併用しなければならないこともあります.図8-1 バイオテンプレートを使って6を挺出する(中島榮一郎.必ず上達ワイヤーベンディング.東京:クインテッセンス出版.2009;86,図8-6より転載).*PNF=固有受容性神経筋促通法

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