薬12/13歯科
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72外傷/歯の脱臼Chapter2月星光博月星歯科クリニック〒479‐0055 愛知県海部郡蟹江町学戸6‐8投薬の背景 脱臼性の外傷には,亜脱臼や挺出性脱臼のような不完全脱臼と,脱落のような完全脱臼がある.不完全脱臼では,感染の危険性がほとんどないことから,全身的な投薬は鎮痛薬以外に行わない. 完全脱臼の場合,脱落した歯が汚染されている可能性があることから,抗菌薬を3日間処方する.ただし,歯が地面に落ちた場合,稀ではあるが破傷風菌の感染の危険性がゼロではないので,開口障害などの症状がみられれば,内科的な緊急対応が必要になる.投薬のポイント 脱臼性の外傷では,整復固定,あるいは,再植による歯根膜の治癒(再付着)が期待できる(図1).再付着を成功させるためには,速やかに,歯根表面の歯根膜と歯槽窩の歯根膜が触れるような状態(整復,固定)が必要である.また,歯肉弁で治療対象歯の周囲が完全に封鎖されていることが重要であることから,必要に応じて縫合なども重要な手技となる.通常,固定は2~3週間で除去する. 脱臼性の外傷では,歯根膜にダメージが加わると同時に,歯髄への脈管にもダメージが加わっている.とりわけ,歯根完成歯では脱臼により歯髄壊死が生じているので,第1選択薬ミノサイクリン(ミノマイシン®)1錠100㎎ 1回1錠 1日2回 朝・夕食後 3日分ロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン®)1錠60㎎ 1回1錠 疼痛時 頓用 3回分第2選択薬セフカペンピボルキシ(フロモックス®)1錠100㎎ 1回1錠 1日3回 毎食後 3日分アセトアミノフェン(カロナール®)1錠300㎎ 1回2錠 疼痛時 頓用 3回分<根管治療時><根管治療時>水酸化カルシウム製剤(ビタペックス®)歯の脱臼

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