薬12/13歯科
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73外傷/歯の脱臼Chapter2根管処置が必要になってくる場合が多い.しかし,20歳前の若年者では,亜脱臼による歯髄壊死は,トランジエント・アピカル・ブレイクダウン(transient apical breakdown)という歯髄の自然治癒が起こる場合があるので,根管治療をすべきかどうかをしばらく見守る必要がある. 歯根未完成歯でも脱臼により多くの場合歯髄壊死がいったんは生じる.しかし,根尖孔が開いていることからリバスクラリゼーション(revascularization:根尖孔から歯髄腔内への毛細血管の再生)が生じ歯髄の治癒が期待できる(図2).通常は,壊死に陥った歯髄は6か月で生活反応を取り戻すが,やがて歯髄腔全体に石灰化(閉塞)が生じる. 完全脱臼の歯を再植した場合,歯根吸収が生じることがある.これは脱落した歯根表面に付着している歯根膜の生死,あるいは機械的損傷の程度によって左右される(図3).表面吸収は,吸収された歯根表面が自然治癒した状態をさし,置換性吸収は歯根が骨で置換される現象で別名アンキローシスと呼ばれる(治療法はない).炎症性吸収は,部分的な歯根膜のダメージと歯髄壊死が原因で生じる.炎症性吸収は発見が早ければ,根管治療により歯根吸収を停止させる(表面吸収による治癒にする)ことができる.このときに,根管貼薬剤としてビタペックスを用いる.完全脱臼再植再付着図1図2図3歯髄組織の再生歯髄腔の閉塞血管再生虚血性変化虚血性変化表面吸収置換性吸収炎症性吸収

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