コンポジットレジンと審美修復
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CHAPTER 4 コンポジットレジン修復における窩洞の条件081CR修復における適切な「窩縁形態」Fig 4a 術前.Fig 4b 隣接面部での窩縁形態の付与.遊離エナメルの形態が三次元的に不規則であったり,充填されたCRが破折しやすいようであれば,隣接面の窩縁形態の修正を行う.Fig 4c ベベルの付与.臼歯部の咬合面部ではベベルの付与を否定している術者も少なくないが,形成面がエナメル小柱に平行と考えられる部位では,わずかにベベルを付与することで,辺縁封鎖がより確実になると想像できる.BABAAACFig 4d,e 大臼歯のCR修復Ⅱ級窩洞の条件を示す模式図.咬合面のみならず歯肉部の窩縁のエナメル質(A)にもベベルを付与することで辺縁封鎖が得られやすい.隣接面部(B)と歯肉側壁部(C)では,意図的にアンダーカットを形成することで,修復物の脱離を防止できると同時に,辺縁封鎖がより確実になると考えられる.Fig 4f CR充填後.とは,自浄作用によって清掃されにくい場所,食物残渣がたまってう蝕になりやすい歯面領域を指す.小窩裂溝,隣接面,最後臼歯遠心面などがそれに当たる.しかし,CR充填ではこの概念の果たす役割は少ないと考えられる.その理由は,予防拡大は不要なエナメル質の除去を求めることになり,minimal intervetion(MI)の考えに反するからである.また,近年う蝕学の発展は,解剖学的な側面よりもむしろう蝕原因細菌の有無,砂糖の摂取量と頻度,歯質,唾液といったことに,う蝕の原因の重きをおいている.さらに,理論的にいえば,長年かかって自然にう蝕に侵された部分のみを除去して修復すること自体が,う蝕リスク部位を窩洞外形内(自浄域)に包括したことになる(う蝕リスク部位がCRに置き換わったことになる)と考えられる.(Fig 2,3).適正な保持形態(retention form) 「保持形態」とは,修復物の脱離を防止するための窩洞形成条件といえる.CR充填では,う蝕歯質を削除した時点で少なからずアンダーカットが存在しているので,厳密な保持形態は必要ない場合が多い.また,歯質接着abcdef

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