インプラント歯科における骨再生誘導法の20年
4/8

口腔内骨採取5図5-2a 下顎結合(オトガイ部)よりトレフィンで採取された大きな細粒状骨(細粒サイズ3~6mm).図5-2b 大きな移植骨片をボーンミル(bone mill)で砕いた微細粒状骨(細粒サイズ1~2mm).図5-3 皮質骨表面より手用ボーンスクレイパーを用いて採取した骨チップ(削片).骨チップ 細粒状骨と骨チップの違いは,移植材となる骨の採取法と粒子の大きさである.骨チップ(250μm~1mm)は細粒状骨よりも小さく(図5-3),通常,スクレイパーかチゼルを用いて皮質骨表面から採取され,外科用キュレットやスプーンを用いて海綿骨部から採取されることはめったにない. すでに述べたとおり,骨チップには力学的な強度はないが,表面積が増大するので,骨沈着が促進される(骨伝導能).海綿骨由来の骨チップのほうが,皮質骨由来骨チップよりも顕著に新生骨形成を促進する(骨誘導能および骨新生能).粉砕していない海綿骨チップ中の生きた骨芽細胞量は,粉砕皮質骨やドリリング時に出る泥状骨粉(ドリルスラッジ)よりもはるかに多いことがわかっている6,7. 皮質表面を削いだ骨チップは幅の狭いリボン状の削りくずになり,吸引器を使わずに採取できるので,汚染の可能性を大幅に軽減し移植材の乾燥も避けられる.手用切削器具を使用すると熱の発生が最低限に抑えられるので,細胞が生存する可能性も高まる2.骨の採取時に,切削骨表面の出血血液がすくい集められて採取骨と混ざり,成形可能な粘土状の基材となる.この基材は,モルタルと同様の粘稠度のため,取り扱いと位置決めが容易100

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です