1からわかるコンポジットレジン修復
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10 コンポジットレジンというと何を連想するでしょうか? 若い歯科医師であれば「審美的な充填修復材料」とまず思い浮かべるにちがいありません.しかしながら,私のように1970年代に大学を卒業した歯科医師にとっては,かつては「変色・歯髄死・二次う蝕」といった悪いイメージがまず浮かびます.過去30数年間にその悪いイメージが少しずつ払拭され,材料の進歩を実感しながら,紆余曲折のすえ臨床で使える現在の審美材料にたどり着いたと感じています. 図1-1をみてください.これは私が1977年に充填したコンポジットレジンで,2007年に撮影したものです.使用した材料は,充填翌年の1978年に市販された「クリアフィルボンドシステムF」(クラレノリタケデンタル)の試験材料です.過酸化ベンゾイル-アミン起媒・マクロフィラー型のペースト・ペーストタイプのコンポジットレジンは,30年経過して茶褐色に変色し,切縁は磨耗して大きくくぼんでいます. 変色・磨耗は著しくとても審美的とはいえませんが,切縁部のコンポジットレジンはエナメル質に接着し,充填物の脱落・歯髄死・二次う蝕は生じませんでした.使用した接着性レジンは,エッチング用のリン酸ゲルと2液混合型のボンディングレジンから構成された,コンポジットレジン用としては日本で初めて発売されたものでしたが,歯質保護と歯髄保護の機能を十分に果たしました. 患者さん(私の家内です)にはずっと我慢してもらっていましたが,限界に達し,2007年8月に再充填しました.図1-2は2007年に再充填した後の写真です.コンポジットレジンを現在の審美的な修復材料の地位に引き上げたのは,いうまでもなく「歯質接着性レジン」の進歩です.接着性レジンの進歩が,コンポジットレジンの改良を促し,またコンポジットレジンの進歩が接着性レジンの性能向上を促したといえるでしょう.図1-2 2007年に再充填したコンポジットレジン.図1-1 1977年に充填したコンポジットレジン.30年経過し変色・摩耗は著しくとても審美的とはいえません.コンポジットレジンの進歩1図111977年に充填したコンポジトレジン30年経2007.8.29図122007年に再充填したコンポジトレジン2007.8.29

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