1からわかるコンポジットレジン修復
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1042級充填のための隔壁法 充填修復は1面窩洞がもっとも容易ですが,隣接面を含む2面以上の複雑窩洞でも隔壁を装着して1面窩洞とすることで充填が可能になります.隔壁法は,充填修復における最も大切なテクニックです.したがって隔壁が装着できない症例は,充填修復の適応症になりません.2級直接充填でもっとも問題となるのが,コンタクト(接触点)の回復です. う蝕による実質欠損が小さく,窩洞形成後もコンタクトが保存されている症例では,あえて歯間離開を行って歯間部に挿入するマトリックスの厚みを補償する必要はありません.しかし欠損が大きくなりコンタクトを失った症例では,セクショナルマトリックスとバイタインリングを使用することで,多くの症例で容易に強固なコンタクトを回復することができます(図12-11).ただし,実質欠損がさらに大きくなり,バイタインリングの装着が不可能な症例では,工夫をすれば直接充填は可能になりますが,間接法修復で行うのが妥当でしょう.バイタインリングとセクショナルマトリックス バイタインリング(bitine:bi=2つ,tine=角)は,リング状のセパレーター兼用マトリックスリテーナーです.その名のとおり2本の角があり,この部分(把持脚)でマトリックスを挿入した歯間部を挟み込むので,マトリックス保持器(マトリックスリテーナー)としてだけでなく,歯間離開器(セパレーター)としても機能します(図12-12). セクショナルマトリックスは,弾性に若干の違いがみられますが,いずれの製品もほぼ30μmの厚さの金属製で豊隆が付与されており,リングを併用することで強固な接触点をもつ,ふくらみのある隣接面を再現することができます.ただし,コンタクトが保存されているような歯間部の隙間がほとんどない症例では,このマトリックスは入りません.その場合は平板状のマトリックスを使用します.図12-11 バイタインリングの適用範囲.図1211バイタインリングの適用範囲隣接面歯質の削除量少多コンタクト保存コンタクトなし直接充填間接法修復バイタインリング適応範囲平板状マトリックス豊隆付きマトリックス

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