アレキサンダーディシプリン20の原則
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526 • 特定仕様のためにデザインされたブラケットを使う大臼歯のオフセット上顎第一大臼歯用の頬側チューブには15°の遠心側へのオフセットが付いている. 大臼歯Ⅰ級関係では, 遠心頬側へ回転していることによって, アーチレングスの占有量を最小にし, 最良の咬合を確立するような上顎第一大臼歯の状況となる. 設計によって, チューブの遠心側へのオフセットがこれらの目的を達成し, ファーストオーダーのワイヤーベンドを曲げる必要性が最小になる. そして上顎第二大臼歯用の頬側チューブは12°の遠心側オフセットが付与されている(図 6-7). 最終的咬合関係をⅡ級あるいはⅢ級関係で終わらせるときは, 上顎の大臼歯が反対の近心側へ回転することによりもっとも良い咬合となる. この近心回転は, ブラケットやチューブをより遠心すなわち, 上顎大臼歯の近心頬側咬頭ではなく遠心頬側咬頭に位置づけることにより達成できる(図 6-8). 頬側チューブをより遠心に位置づける必要があるときには, バンドを斜めに圧縮し, 歯の周りに適合させ, 大臼歯の解剖学的形態に仕上げる(図 6-9). 下顎の第一, 第二大臼歯は遠心のオフセットが0°と6°にそれぞれなっている(図 6-10). 臼歯関係がⅡ級またはⅢ級であっても下顎大臼歯ブラケットの位置は変わらない. アンギュレーション(歯冠近遠心傾斜)ツインブラケットの支持者たちはシングルブラケットでは長軸角度を十分にコントロールできないという仮説を立てている. 私の長年にわたる経験と一貫性のある結果は, それらの考えが誤りであることを立証するものである. ツインブラケットは長軸での適切な傾斜を得るためには必要でないことがわかった. ウィング付きのシングルブラケットはすばらしく効率良く適切な歯根の角度を生み出してくる. 歯が適切な角度にならない場合は, ブラケット自体のデザインよりもブラケットの位置が悪いことによる可能性が高い. Dr Tweedによって提唱された上下顎前歯のための, いわゆるartistic-positioning bendはブラケットのデザインに組み込まれている. 切歯ブラケットのアンギュレーションは上下顎ともに, 審美的改善と治療結果の安定性のために, 前歯部歯根を拡げるようデザインされている. 下顎6前歯歯根のアンギュレーションは下顎歯列の長期安定性を成功させるためにたいへん重要なステップである. 上顎第二小臼歯は4°の歯根遠心傾斜用アンギュレーションを必要としている. そうでなければ, ブラケットが歯の長軸に平行に着けられたときに歯根が近心に傾斜するためである. 抜歯図 6-7 Ⅰ級の大臼歯関係に使用される上顎大臼歯の遠心オフセット.図 6-8 Ⅱ級あるいはⅢ級関係に大臼歯を回転させるためのブラケットの位置の違い.図 6-9 チューブをより遠心に付け替えて大臼歯の解剖学的形態になるようにバンドを圧接して仕上げをする.図 6-10 下顎大臼歯の遠心オフセット.近心遠心上顎第一大臼歯第二大臼歯近心遠心上顎第一大臼歯Ⅰ級の回転Ⅱ級あるいはⅢ級の回転近心遠心下顎第一大臼歯第二大臼歯

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