別冊 TMDYB2012 アゴの痛みに対処する 
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AADR TMD Policy Statement(改訂版) AADRは,顎関節症(以下TMD)が顎関節,咀嚼筋および関連諸組織を含 AADRは,顎関節症(以下TMD)が顎関節,咀嚼筋および関連諸組織を含む筋骨格性および神経筋性疾患の一群を指していると認識している.本疾患む筋骨格性および神経筋性疾患の一群を指していると認識している.本疾患に関連した症状や徴候は多彩であり,咀嚼,発語および他の顎顔面機能に障に関連した症状や徴候は多彩であり,咀嚼,発語および他の顎顔面機能に障害をもたらすことがある.害をもたらすことがある. また,TMD は通常急性痛や慢性痛をともなっており,患者は同時に他の また,TMD は通常急性痛や慢性痛をともなっており,患者は同時に他の疼痛疾患に罹患していることも多い(共存症).TMDによる疼痛が慢性に経疼痛疾患に罹患していることも多い(共存症).TMDによる疼痛が慢性に経過すると,失職や休職,あるいは社会的な接点の喪失や減損を招いたりする過すると,失職や休職,あるいは社会的な接点の喪失や減損を招いたりする結果,全般的なQOLの低下をもたらすことがある.結果,全般的なQOLの低下をもたらすことがある. 実験的研究や疫学的研究のみならずクリニカルトライアルにより得られた 実験的研究や疫学的研究のみならずクリニカルトライアルにより得られたエビデンスに基づいて次のような基本声明を掲げる.エビデンスに基づいて次のような基本声明を掲げる.11.TMDと顎顔面部の関連疾患の鑑別診断は,基本的には患者の.TMDと顎顔面部の関連疾患の鑑別診断は,基本的には患者の病歴聴取病歴聴取,,臨床的診察臨床的診察,および必要に応じて顎関節のエックス線写真および他の,および必要に応じて顎関節のエックス線写真および他の画画像検査像検査から得られる情報に基づいてなされるべきである.他の付加的なから得られる情報に基づいてなされるべきである.他の付加的な診断法を選択する場合は,すでに論文に発表され,同一分野の研究者が診断法を選択する場合は,すでに論文に発表され,同一分野の研究者が検証した,診断的価値と安全性が保障されたデータに基づいてその選検証した,診断的価値と安全性が保障されたデータに基づいてその選択がなされるべきである.しかしながら,現在利用できるTMDの択がなされるべきである.しかしながら,現在利用できるTMDの診断診断機器機器のなかには,種々の画像診断機器を例外として,TMD患者を正常のなかには,種々の画像診断機器を例外として,TMD患者を正常者から鑑別したり,TMDの症型を分類したりするのに必要な感度と特者から鑑別したり,TMDの症型を分類したりするのに必要な感度と特異度を有している機器は存在しないというのが最近の科学的文献のコン異度を有している機器は存在しないというのが最近の科学的文献のコンセンサスである.現在,筋骨格系,リウマチ性あるいは神経系の類似疾センサスである.現在,筋骨格系,リウマチ性あるいは神経系の類似疾患の鑑別に用いられている標準的な医学的診断法や検査室診断法につい患の鑑別に用いられている標準的な医学的診断法や検査室診断法については,必要な場合にはTMDの診断に用いることは認められる.加えて,ては,必要な場合にはTMDの診断に用いることは認められる.加えて,標準化され,妥当性が検証された種々の標準化され,妥当性が検証された種々の心理テスト心理テストを用いて個々の患者を用いて個々の患者が抱えるTMDの問題の社会心理学的側面を評価することも認められる.が抱えるTMDの問題の社会心理学的側面を評価することも認められる.22.正当化できる特定の証拠がないかぎりは,TMD患者の治療の第一選択.正当化できる特定の証拠がないかぎりは,TMD患者の治療の第一選択は,は,保存的保存的で可逆的かつ証拠に基づくで可逆的かつ証拠に基づく治療法治療法とすることが強く薦められとすることが強く薦められる.多くのTMD患者のる.多くのTMD患者の自然経過自然経過を調べた研究により,TMDは時間経を調べた研究により,TMDは時間経過とともに改善し,治癒していく疾患であることが示唆されている.あ過とともに改善し,治癒していく疾患であることが示唆されている.あまねく効果的であることが証明された特定の治療法が存在しないとはいまねく効果的であることが証明された特定の治療法が存在しないとはいえ,保存的療法の多くがほとんどの侵襲的な治療法と少なくとも同程度え,保存的療法の多くがほとんどの侵襲的な治療法と少なくとも同程度に症状の改善をもたらすことのできることが証明されている.保存的療に症状の改善をもたらすことのできることが証明されている.保存的療法は不可逆的な変化を起こさないため,害をもたらすリスクは格段に少法は不可逆的な変化を起こさないため,害をもたらすリスクは格段に少ない.プロフェッショナルケアは,必ずTMDという疾患そのものや症ない.プロフェッショナルケアは,必ずTMDという疾患そのものや症状の管理の仕方について状の管理の仕方について患者教育患者教育を行うというを行うというホームケアホームケアと合わせて実と合わせて実施されるべきである.施されるべきである.図図11 AADR(American Association for Dental Research)によるTMDに関するPolicy Statement(改訂版).社団法人日本補綴歯 AADR(American Association for Dental Research)によるTMDに関するPolicy Statement(改訂版).社団法人日本補綴歯科学会学術委員会訳(2010年).和訳は,矢谷博文教授(大阪大学)および窪木拓男教授(岡山大学)による. 科学会学術委員会訳(2010年).和訳は,矢谷博文教授(大阪大学)および窪木拓男教授(岡山大学)による. 20102010年年33月月33日AADR評議会により承認日AADR評議会により承認

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