別冊 TMDYB2012 アゴの痛みに対処する 
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104別冊the Quintessence 「TMD YEAR BOOK 2012」2章 TMDの症状に対する正しい検査・診断を学ぶ6 はじめに 顎関節症は単一の原因により発症する疾患ではなく,多因子性疾患(multi-factorial disease)であり(図1),症状の自然消退の期待できる疾患(自己限定的疾患;self-limiting disease)であること1,そして,2010年AADR評議会の声明文にもあるように,患者の社会心理学的側面の評価の必要性やリスクが少ないプロフェッショナルケアとして疾患そのものや症状の管理に関する患者教育(ホームケア)が重要な疾患である2.顎関節症の発症に関する疫学的研究からも,習癖や生活習慣はその要因となることが報告されている3. このようなことから,TMDに対する初期治療と習癖行動神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座有床義歯補綴学分野神奈川歯科大学大学院顎口腔欠損補綴学講座連絡先:〒238‐8580 神奈川県横須賀市稲岡町82玉置勝司キーワード:習癖行動図1 顎関節症の病因論.顎関節症の病因論顎関節症は多因子性疾患(multi-factorial disease)である初発因子(initiating factors)1.直接外傷:大開口,長時間の歯科治療,硬固物嗜好2.間接外傷:交通事故などによる介達の打撲3.微少外傷:異常習癖素因(predisposing factors)1.肉体的要因:顎関節や咀嚼筋の解剖学的脆弱性2.精神的要因:精神疾患,性格傾向永続因子(perpetuating factors)1.精神的ストレス:仕事,家族,裁判,失恋,離婚など2.異常習癖や行動

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