別冊 TMDYB2012 アゴの痛みに対処する 
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156別冊the Quintessence 「TMD YEAR BOOK 2012」3章 睡眠時ブラキシズムのClassic Evidence睡眠時ブラキシズム研究のClassic Evidence─その歴史的・学術的背景から最新の研究成果を学ぶ─昭和大学歯学部歯科補綴学講座連絡先:〒145‐8515 東京都大田区北千束2‐1‐1馬場一美/葭澤秀一郎/酒井拓郎キーワード:睡眠時ブラキシズム,睡眠,TMDSleep Bruxismのポリソムノグラフィ(polysomnography;PSG)研究(Column1)であろう(図2内3‐1).これらの研究により,“SBが微小覚醒にともなう現象である”(Column2)ことが実証され,SBを捉えるうえで基盤となる概念として定着した.また,歯科において系統だった睡眠生理学研究が行われ始めたという点でも大きな意義がある. ここで注目に値することは,すでに今から半世紀前,1950~60年代に同様の報告がされている点である.つまり,PSGが睡眠医学分野の研究で用いられ始めて間もない時期にブラキシズムを対象としたPSG研究が行われ,前述の概念の基盤となる研究結果が報告されているのである(図1,図2内1‐2).概説 歯科に関連した睡眠医学研究の流れと,睡眠時ブラキシズム(sleep bruxism;SB)研究の歴史の概要を図1,2に示す.20世紀初頭,睡眠時・覚醒時の区別なく,機能時以外のグラインディング様動作が“ブラキソマニア”と呼ばれ,その後“ブラキシズム”という呼称が一般的になっていく. ブラキシズムについての古典的な歴史については割愛するが,PubMed上での最古の研究は1949年に遡る.それ以来,数多くの研究報告があるが,もっとも注目すべきものは,1990年代に盛んに行われたSB発生のカスケードを明らかにした一連ポリソムノグラフィー(polysomnography;PSG)測定 睡眠実験室で行われる睡眠生理学的検査であり,睡眠関連疾患検査のゴールドスタンダードである.脳波,眼電図,心電図,呼吸,酸素飽和度,体動,ビデオモニター等が同時測定される.SB評価のため通常咬筋筋電図記録が行われる.睡眠段階をはじめとして多生理現象を正確に評価できる.一方で患者は睡眠実験室で宿泊する必要があり,環境の変化が睡眠に影響を与える可能性があること,測定の費用が高価であるなどの問題点もある.Column1

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