別冊 TMDYB2012 アゴの痛みに対処する 
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157別冊the Quintessence 「TMD YEAR BOOK 2012」睡眠時ブラキシズム研究のClassic Evidenceこの時期は,ブラキシズムの発生に“咬合”が大きく関わっているとの考え方が広く普及した時期であり,SB原因論についての議論がこの時期にすでに始まっていたことになる.また,顎機能障害(TMD)と関連した研究が数多く発表され,“筋痛‐筋過緊張”の悪循環理論も咀嚼筋痛とSBとの関係に適応され始める(図2内1‐1,2‐3,図3). 1960年代以降,携帯型の装置を用いた単チャンネル測定(Column3)によるSBの評価・定量化が盛んに行われるようになり,生理学的な研究が推進される(図2内2‐1).しかし,1960年代に散見されたPSG研究は普及せず,睡眠との関連性についての探求が進むのは1990年代に入ってからである.前述のように,古くからSBはTMDの原因として注目され,1970年代に盛んに行われた携帯型の装置を用いたSB研究により,両者の因果関係が検証された(図2内2‐3).微小覚醒(micro arousal) 睡眠中に睡眠段階判定に影響しない程度の短い覚醒が頻回に見られることがある.このような微小な覚醒反応は,睡眠時無呼吸低呼吸症候群や周期性四肢運動障害などで高頻度に検出される.1992年に,ASDA(American sleep disordered association)により“3秒以上の突然な周波数変化”として定義されている.部分的覚醒(partial arousal)と同義.Column2図3 筋緊張(収縮)により筋痛が引き起こされると,筋痛がさらに筋緊張を引き起こすという悪循環が成立すると考えられていた.図4 筋痛があると筋緊張(収縮)は抑制されるため,図3に示す悪循環は成立しない.痛みがさらなる筋収縮を喚起痛みがあると筋を収縮できない持続性の筋収縮血液循環の低下持続性の筋収縮血液循環の低下筋痛悪循環筋の緊張 筋痛筋の緊張Pain Adaptation Model携帯型の装置を用いた測定 小型で操作性の良い単チャンネルの咬筋筋電図計を用いてSB評価を行う方法.比較的簡便かつ安価に夜間の筋活動測定ができ,家庭環境での自然な睡眠中の記録が可能でるため,多数夜測定を行いやすい. 一方で,咬筋筋活動以外の生理現象を把握できないため,睡眠段階の判定を行うことは不可能であり,睡眠生理学的な検討はできない.Column3

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