口腔筋機能療法 MFTの実際(下巻)
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28診査項目2口腔習癖 Oral habits吸指癖・吸舌癖・咬唇癖咬爪癖・ブラキシズム・その他 吸指癖(指しゃぶり)を行っている患者の口腔内は開咬、上顎前歯の唇側傾斜、上顎歯列弓の狭窄などの特徴的な形態を呈しており、手には吸いダコができています(図19)。このような状態が見られたときには、問診により、どのように、どのくらいの時間、指をしゃぶっているかを確認します。 がんこな吸指癖を行っている患者の場合は、通常のMFTのレッスンプログラムを開始する前に、吸指癖を取り除くことが望ましいと考えます。しかし本人に自覚ができ改善が見られるときには、レッスンを開始しながら吸指癖の完全除去を図ります。 一般的に、3~4歳くらいまでの指しゃぶりは発達途上に見られる生理的な行動ですので、問題視する必要はありません。乳切歯が指に押されて前歯部に開咬の状態が見られることがありますが、吸指癖が消失すれば開咬も自然に治ってしまうことが多いです。この時期までのお子さんの指しゃぶりを気にする保護者には、「今は指しゃぶりを温かく見守るほうがよい」とアドバイスをするとよいと思います。 これに対し4~5歳を過ぎても続く吸指癖は、なかなか自然には消失せず、習癖として残ってしまうこと(固着)が多いので、やめ図19a 吸指癖(指しゃぶり)を行っている患者。拇指を口腔内に入れているようす。図19b 口腔内所見。前歯部に開咬が生じている。図19c 拇指の歯にあたるところに吸いダコが見られる。aabbcc

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