口腔筋機能療法 MFTの実際(下巻)
2/8

29第2章 口腔機能の診査第3部 実践編図20a、b 咬唇癖を行っている患者の口腔内所見。過剰なオーバージェットが見られる。図20c 口元の所見。上顎切歯の後ろで下唇を咬んでいるようす。図21 咬爪癖の患者の手。指先より爪の先が内方に引っ込んでいる。aabbccるための働きかけをそろそろ考えたほうがよいでしょう。著者らは、この時期にまだ指しゃぶりが続く場合には、「小学校入学の1年前くらいから減らし始め、小学校入学までには完全にやめるようにしたらいかがですか」とアドバイスしています(指しゃぶりに対する具体的な指導法は上巻第1部第9章で述べています)。 吸舌癖は上下歯列のあいだに挟んだ舌を吸う癖で、オーバーバイトがなかなか深くならない原因となることがあります。 咬唇癖は、下唇を上下前歯のあいだで噛む癖で、オーバージェットの改善の妨げとなることがあります(図20)。 咬爪癖(爪噛み)は、歯列に特徴的な影響が及ばないこともあるのですが、矯正歯科治療中に咬爪癖が続いていると歯根吸収などのダメージが生じる可能性があるので、指導の対象となります。咬爪癖の患者の爪は常に短く特徴的な形をしていますので、疑わしいときには問診により確認します(図21)。なお著者らは、診療室に『爪やすり』を常備しており、『爪が伸びるのを待ってから切る』のではなく、『ひっかかりがないように毎日爪の先をつるつるにする』ように指導することで、咬爪癖を抑制することに成功しています。 ブラキシズムは歯ぎしりや咬みしめ癖など、無意識のうちに歯を

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です