口腔筋機能療法 MFTの実際(下巻)
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31第2章 口腔機能の診査第3部 実践編診査項目3舌の状態 Tongue condition大きい・動きが悪い・側縁に歯の圧痕挙上できない・正常図25a 安静時に舌が下顎歯列上に乗ってしまう。図25b 嚥下時には舌で歯を内方から押してしまう。aabb図25 舌が大きい患者の例。図26a 舌の動きの診査法①。口を開けたまま舌を前方に突き出させる。図26b 舌の動きの診査法②。舌を左右に振らせ、すばやさをチェックする。図26c 舌の動きの診査法③。舌を口蓋に吸いつけて、舌打ちができるかどうかをチェックする。 舌の大きさや動き、舌の側縁に歯の圧痕がついていないかどうかを診査します。 舌の大きさは客観的に述べることがなかなか困難ですが、舌が見るからに分厚い場合や、下顎歯列上に乗ってしまっている場合などに、“大きい”と判断しています。ただし、舌が弛緩しているために大きいように見える場合が大半です(図25)。この際には、舌全体の筋力を強化するポッピングなどの訓練を行うことで舌が引き締まってくるので、その時点で再判定を行うのがよいでしょう。 なお明らかな巨舌症(Macroglossia)では舌の縮小術が適応とされる場合がありますが、この場合にも術前・術後の機能訓練が必要です。鑑別診断として考慮すべき巨舌症の原因疾患としては、ダウン症、甲状腺機能低下症、アクロメガリー、腫瘍病変、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、アミロイドーシスなどがあります9、10)。 舌の動きの診査は、次の手順で行います。①口を大きく開けたまま舌を前方に突き出させ、舌尖が上方に丸まったり、下方に下がったりしていないかをチェックする(図26a)。②口を大きく開けたまま舌を左右に振らせ、すばやさをチェックする(図26b)。③舌を口蓋に吸いつけて、舌打ちができるかどうかをチェックする(図26c)。

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