審美歯科治療の長期的観点からの検証
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1204部 長期予後を見据えた欠損別審美治療の到達点―歯科技工士とのコラボレーション(5年以上経過症例)1章:単独歯欠損における審美修復Part 3前歯部審美領域における硬・軟組織のマネージメント─軟組織リカバリー症例からの考察─Management of Soft Tissue and Hard Tissue in Anterior Esthetic Region; a Consideration Through a Case That Needs the Recovery of the Soft Tissue略歴1990年 福岡県立九州歯科大学卒業1995年 医療法人社団洛歯会 中田歯科クリニック開設2009年 医療法人社団洛歯会 デンタルクリニックTAKANNA開設所属ITI Member,CID(center of implant dentistry)理事,日本口腔インプラント学会会員,日本臨床歯周病学会会員,東京SJCD会員,NGSC副会長,OJ正会員Kotaro Nakata- Private Practice, Kyoto- 1990 DDS, Kyushu Dental University, Fukuoka, Japan- 1995 Establish Nakata Dental Clinic- 2009 Establish Dental Clinic TAKAN-NA中田光太郎(京都府開業:中田歯科クリニック)はじめに 単独歯欠損におけるインプラント治療の審美性の達成については,すでにプロトコールが出揃った感がある.審美部位において組織の保存は隣接歯の骨頂の位置に依存するため,術前に詳細で正確な治療計画を立案したうえで必要なリスク評価を行い,インプラント治療が適応症と診断できれば,術者としては十分な審美性を達成する必要がある. しかし他方では,技術的な難易度が非常に高いという側面もある.術前の硬・軟組織量,三次元的なインプラントポジション,インプラントの埋入時期,必要があれば硬軟組織の造成の成否,そして補綴的な技術レベルなどが,術後の審美性に大きく影響する. 審美性を重視するインプラント治療において,不幸にもそれが達成できなかった場合,術者も患者もお互いにフラストレーションのたまる結果となる.したがって,治療途中の各段階で見直しをすること,修正できる部分はできる限り速やかに修正する技術もこの領域には望まれる.インプラントが埋入された後での組織不足については,すでに硬組織の造成は望めないため,軟組織の形成手術を用いるか,あるいはインプラントを撤去するかのいずれかしか選択肢は残らない.最終的な結果における,またはフォローアップ中の合併症の発現に対しては,可能性があるとすれば軟組織のプラスティックサージェリーにて対応する.

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