審美歯科治療の長期的観点からの検証
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1824部3章 無歯顎における審美修復予後からみた本症例の考察 図10に骨造成を行った・の上部構装着2年後のCT像と,図11に術後5年後の口腔内の状態ならびにパノラマX線写真を示す.本症例では,すべてのインプラントにプラットフォームスイッチングを応用した.その結果,組織は5年という短い期間ではあるが,今のところ良好に機能しているようである.ここ数年,プラットフォームスイッチングの理論とその接合様式の違い,アバットメントの形態などの因果関係が明らかとなりつつあるが5),筆者はあくまでも十分な組織が周囲に存在してこそ長期に作用すると思っている.本症例が中長期間良好に推移している理由は,水平的高さ的に骨造成を行い,その後軟組織の移植を行った結果,その組織が現在も維持しているからであろうと推察している.また,歯冠形態のみで上部構造を与えようとした場合,そのほかのオプションと比較してより厳密なインプラントポジションが要求される.本症例では適切なポジションに埋入されたことも成功の一因であろう.あえていうなら,現在ならのインプラントは埋入していなかったかもしれない.図9c, d 同側方面観.図8‐a 製作された最終上部構造の模型上咬合面観.図8‐b 最終上部構造装着1ヵ月後.仮着を外した時の粘膜面と上部構造の関係.歯間乳頭様の組織が存在している.図9‐a 最終上部構造装着3ヵ月経過時正面観.図9‐b 口唇との良好なバランスを構築することができた.

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