子どもの歯に強くなる本
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138第4部 幼児期C これだけは知っておきたい予防処置図46-1 プラーク中pHの1日の変化。pH5.5以下でエナメル質は脱灰する。日中の「ダラダラ食べ・飲み」、とくに唾液分泌の減少する就寝前での飲食によって、1日に占める脱灰時間が増すことによって、う蝕ができやすい状況となる。46 う蝕になりやすいのはどんな子 子どもたちのむし歯を治療していると、保護者から「むし歯には、なりやすい子となりにくい子がいるのですか?」との質問を受けることがあります。たしかにう蝕の罹患には個人差があることが知られています。では、う蝕になりやすい子どもにはどのような特徴があるのでしょうか。 前項でう蝕は宿主(歯・唾液)、食物(糖)、細菌(プラーク)の3つの条件がそろって生じる生活習慣病であるといいましたが、う蝕は主に砂糖の入った飲食物の摂取によってできたプラーク中の酸で歯が脱灰されるものなので、う蝕の発生と進行には砂糖の摂取の仕方と頻度が重要です。 一方、唾液には「緩衝能」というものがあり、砂糖が摂取されると、プラーク内は酸性になりますが、その後も砂糖の供給がなければ唾液がプラーク中へ染み込み、酸性に傾いた口やプラークを中性に戻して溶け出した歯を元に戻します。これを「再石灰化」といいます。しかしながら、再石灰化が追いつかないような間食の摂り方では、口の中が酸性になりっぱなしになり、脱灰と再石灰化のバランスが崩れ、脱灰が有意に進んでしまうのです(図46‐1)。 すなわち、食事や間食の摂り方がう蝕になりやすい子となりにくい子の差の要因となっています。むし歯予防のために、間食は甘味食を中心とせず、時間、頻度、内容、量を決め、食事前にはお腹がすくようにし、食事と食事の間の時間を十分にあけることが大切です。pH7.06.56.05.55.04.07時12時時 間18時20時飲 食飲 食飲 食飲 食飲 食飲 食飲 食

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