子どもの歯に強くなる本
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208第4部 幼児期G 不正咬合にいかに対処するか74 乳歯列期の保隙は積極的に 乳歯の早期喪失が起こると、隣在歯の傾斜や対合歯の挺出によって後継永久歯の萌出するスペースが喪失することから、永久歯列における不正咬合の原因となります。また、多数歯にわたって早期喪失が起こると発音障害や咀嚼障害がみられ、前歯の早期喪失では審美性の問題や精神的な問題も起こってきます。 これらを防ぐための処置として、後継永久歯の萌出スペースを確保することを目的とした保隙を行っていく必要が生じます。しかし乳歯の早期喪失がみられ、すでに後継永久歯の萌出スペースが喪失してしまっている場合や、他に不正咬合がみられる場合には、動的な咬合誘導が必要となり保隙は非適応となります。また、保隙を行うにはエックス線検査によって後継永久歯の存在を確認すること、後継永久歯の位置や歯根形成状態の確認を必ずしておく必要があります。保隙装置の具備すべき条件には、①空隙を確実に維持できる、②後継永久歯の正しい萌出を妨げない、③咀嚼機能が回復できる、④う蝕発生を助長しない、⑤軟組織を傷害しない、⑥支台歯に過剰な負担をかけない、⑦顎骨、歯槽骨の正常な発育を妨げない、⑧製作が簡単で修理や改良が容易、⑨変形しにくい、⑩装置の応用範囲が広いことなどが挙げられます。現在用いられている保隙装置には次のようなものがあります。〈固定性のもの〉⑴ クラウンループ(図74‐1)、バンドループ(図74‐2):これらは、片側性の第一乳臼歯1歯欠損の場合に適応します。支台歯となる第二乳臼歯が健全な場合に図74-1 クラウンループ。図74-2 バンドループ。図74-3 クラウンディスタルシュー。

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