子どもの歯に強くなる本
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209乳歯列期の保隙は積極的にはバンドループが用いられ第二乳臼歯に乳歯既製冠が装着されているあるいは装着が必要な場合にはクラウンループが適応されます。⑵ クラウンディスタルシュー(図74‐3):第一大臼歯が未萌出で片側性の第二乳臼歯の早期喪失の場合に用いられ、未萌出第一大臼歯の萌出誘導を行える唯一の装置です。ただし第一大臼歯が最大豊隆部まで萌出してきた場合には第一大臼歯の捻転を防止するために他の保隙装置への変更が必要となります。⑶ リンガルアーチ(図74‐4):左右の第一大臼歯あるいは第二乳臼歯にバンドを装着しアーチワイヤーで連結したもので、第一大臼歯あるいは第二乳臼歯の近心移動の予防と歯列弓周長の維持に用います。2歯以上の乳臼歯の早期喪失に適応されます。⑷ Nanceのホールディングアーチ:リンガルアーチと構造は類似していますが、レジン製のボタンが付加された主線部は口蓋皺壁斜面上に置かれるため上顎にのみに使用できます。目的および適応はリンガルアーチと同様です。〈可撤性のもの〉⑴ 可撤保隙装置(図74‐5):多数の乳歯早期喪失例に用いられ、喪失部に人工歯を配列できることから近遠心的、垂直的な保隙効果が得られるだけでなく咀嚼機能、発音機能、審美性の回復も可能です。ただし、装置の着脱を患者自身に任せるため装着してくれなければ効果が出ません。 これらの装置装着後は口腔内環境が変化しますので、入念な口腔清掃指導を行います。必ず定期的に来院をしてもらい口腔清掃状態を調べるとともに、保隙装置が初期の目的を果たしているか、装置の変形や破損がないかのチェックが必要です。図74-4 リンガルアーチ。図74-5 可撤保隙装置。

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