子どもの歯に強くなる本
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260第5部 学童期D 第一大臼歯、第二大臼歯を守ろうD 第一大臼歯、第二大臼歯を守ろう89 第一大臼歯を保存しよう 第一大臼歯は6〜7歳頃永久臼歯の中でもっとも早く萌出し、最大の大きさを持ち咬合の鍵ともいわれ咀嚼の中心となる重要な歯です。しかし萌出後1〜2年で第一大臼歯は急激なう蝕罹患傾向を示し、患者の意識レベルも低く予防管理の十分でなかった時代には多くの第一大臼歯が早期にう蝕に罹患し、重症化のためまた歯周病などのために抜歯されることも多くありました。第一大臼歯が早期に喪失すると両隣在歯は空隙に向かい傾斜して萌出し、対合歯が挺出し咬合は崩壊します。顎も変形したり顎関節症も起こりやすくなります。当然咀嚼能率は下がりさまざまな影響が出ます。ブリッジやインプラントなども検討課題となりますが、成長発育期の小児では顎や歯列の発育障害などの原因となるためできません。このような理由により、第一大臼歯をう蝕の罹患から守らなければなりません。萌出したての幼若な第一大臼歯がう蝕に罹患しやすい理由は、萌出し始めてから完全萌出し対合歯と咬合接触するまでに長期間(2〜3年)を要し、その間歯肉弁に覆われる時期が長く、歯面との間に不潔域が形成され、かつ第二乳臼歯の後方に咬合平面より低い位置に萌出し、頬部粘膜との間が非常に狭く歯ブラシが届きにくい点にあります(図89‐1)。したがって、45度磨きや突っ込み磨き(図89‐2)、タフトブラシを用いるなどの工夫がいります(図89‐3)。 う蝕に罹患しやすい場合や歯肉弁に炎症を起こしやすい場合は、歯肉弁の切除も図89-2 歯ブラシを横から突っ込んで磨く‶突っ込み磨き"。図89-1 第一大臼歯萌出中は咬合面が一段低く、歯ブラシの毛先は届かない。

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