子どもの歯に強くなる本
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261第一大臼歯を保存しよう検討します。歯肉弁を切除するとプラークコントロールがやりやすくなります。また、萌出したての幼若永久歯は歯質が未成熟であるために脱灰などの侵襲を受けやすく、フッ素塗布による歯質の強化は非常に重要です。さらに、萌出したての幼若な第一大臼歯の咬合面の小窩裂溝は非常に複雑で深く、通常の歯ブラシによるブラッシングでは届かない部分もあります。磨き残しが原因でう蝕が発生することより、この小窩裂溝を清掃し小窩裂溝塡塞材(シーラント)にて塡塞することによってプラークの停滞を少なくし、ブラッシングによるプラークコントロールがより行いやすくなってきました。 最近ではフッ素徐放性のシーラント剤も開発され、さらに予防効果が高まってきています。また、定期的な健診によりう蝕予防指導や処置、う蝕の早期発見、早期治療によってこの大切な第一大臼歯を生涯にわたって保存し、咀嚼機能を営ませることが可能な時代となってきました。 □臨床のヒント………………………………………………………………………… 第二乳臼歯が脱落したときに、第一大臼歯の近心隣接面に初期う蝕病巣である白斑を認めることがあります(図89‐4)。これを予防するには第一大臼歯萌出が開始すればフロスによる隣接面の清掃を行うことが重要です。また、白斑が認められた場合は口腔清掃指導を徹底し、フッ化物の歯面塗布を行うなどしてエナメル質の再石灰化促進を期待します。図89-4 第一大臼歯近心面にできた初期う蝕の白斑。図89-3 タフトブラシ使用例。

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