子どもの歯に強くなる本
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291IPC法(暫間的間接覆髄法)局所麻酔を行い、ラバーダム防湿のもとで露髄に注意して限局した軟化象牙質をスプーンエキスカベーターで除去します。軟化象牙質を残したまま窩底に水酸化カルシウム製剤を貼付し、暫間充塡を施します。 とくに乳歯列期は歯根の安定期がもっとも予後は良好で、幼若永久歯はとくに幼若血管が豊富なために歯髄の生活力は旺盛です。異常所見がない場合はラバーダム防湿下で暫間的修復材料と覆髄剤を除去しながら残存軟化象牙質を完全に除去しても、その直下には第二象牙質の形成があるために露髄はないことを確認します。歯髄を除去していないために当然壊死層はないことから治癒は早いでしょう。このような流れの中で永久的歯冠修復を行うことにより咬合機能を回復します。〈経過観察〉 乳歯・幼若永久歯では約3か月前後、永久歯では約6か月とし、歯髄電気診とデンタルエックス線検査を行います。臨床的立場からデンタルエックス線検査において歯髄表層部には第二象牙質の形成は確認できなくとも、湿潤性の軟化象牙質は硬化した象牙質に変化していることから明らかです。う蝕検知液を使用すると、再石灰化していない部分は染色されます。 第二象牙質の形成により露髄は認められません。IPCの適応症を判定するために歯科医師は高度な技術を要するため、日常の臨床経験が必要となります。 乳歯根の安定期や根未完成歯の歯根の成長に関しては、歯髄を保護するうえで日常の小児歯科臨床ではしばしば応用されます。図99-4図99-3グラスアイオノマーセメント酸化亜鉛ユージノールセメント水酸化カルシウム製剤歯冠修復第二象牙質グラスアイオノマーセメント酸化亜鉛ユージノールセメント水酸化カルシウム製剤軟化象牙質二重仮封暫間充塡(コンポジットレジン)

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