別冊 日常臨床で必ず使える! 歯内療法克服の一手
3/8

14Part1 必ず知っておきたい歯内療法の世界的潮流はじめに 90年代初頭より歯内療法は大きく変貌を遂げている.とりわけニッケルチタン(Ni-Ti)ロータリーファイルは今なお進化を続けており,湾曲根管の形成に劇的な効率化をもたらしたといっても過言ではない.また,歯科用マイクロスコープの応用により難症例への対応に診断・処置の両面で大きな福音がもたらされている.加えて,Mineral Trioxide Aggregate (MTA)と呼ばれる新規歯内療法用材料の開発や歯科用小照射野エックス線CT装置(コーンビームCT:以下歯科用CTと略)の応用など,この方面の話題は枚挙にいとまがない. 本稿では,以上のような展開を背景として,現在の歯内療法のグローバルスタンダードを俯瞰しながら,歯内療法の効率化や難症例対策についての話題を提供したい.歯科用CTの応用 日常臨床では「慢性根尖性歯周炎」といった病名の決定は容易ながらも治療方針や処置法の選択に苦慮する症例にしばしば遭遇する.このような状況の打開に有用な機器として,歯科用マイクロスコープはすでにその地位を確立していると思われるが,近年では歯科用CTの適用も活発となっている.これらはコスト等の面で必ずしも一般的といえないが,難症例対策のグローバルスタンダードのなかでは必須のものといっても過言ではない. 歯科用CT装置は,エックス線管と対向する二次元検出器を有しており,エックス線を被写体に円錐状に照射して二次元データを取得するため,エックス線管と対向する検出器が1回転することで,三次元画像の作成が可能となる.いわゆる医科用CTと比較して解像度(空間分解能)が高いこと,被曝線量が少ないこと,撮影時間が短いこと等の利点があるが,軟組織の描出能は医科用CTよりも低く,また最新歯内療法のグローバルスタンダード興地隆史新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔健康科学講座う蝕学分野連絡先:〒951-8514 新潟県新潟市中央区学校町通2-5274Takashi OkijiModern Global Standard of Endodontics◆著者紹介1959年 兵庫県生まれ1984年 東京医科歯科大学歯学部卒業1988年 東京医科歯科大学大学院歯学研究科終了 東京医科歯科大学歯学部助手1994年 イエテボリ大学歯学部客員研究員(~1995年)1999年 東京医科歯科大学講師2001年 新潟大学教授 歯学部附属病院総合診療部2003年 現職◆主な著書『Seltzer&Bender’s Dental Pulp』(小社刊)/『失敗しない歯髄保存療法』(小社刊)/『臨床歯内療法 器材・薬剤・テクニックのコンビネーション』(デンタルダイヤモンド社)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です