別冊 日常臨床で必ず使える! 歯内療法克服の一手
5/8

28Part2 臨床家・大学人15人の“明日から役立つ歯内療法の診断・治療ダイジェスト”1.私の歯内療法への思い 筆者が学生のころ,歯をぶつけて歯科医院に駆け込み,悩んでいた痛みが一度の根管治療で消失したときの記憶は今でも鮮明である. 大学病院には,一般医で保存不可能と言われたものの,諦めのつかない患者が紹介されてくる.抜歯になることも少なくないが,患者に予後の悪さを説明し,納得してもらったうえで保存ができる症例もある.痛みで悩む患者に共感し,ともに努力し,治癒した喜びを共有できたなら歯内療法は非常にやりがいのある臨床である. タイトルのLast Resortとは“最終手段”という意味をもつ.とくに,今回提示する2症例で用いた意図的再植術に対して使われてきた言葉である.“一縷(いちゐ)の望み”あるいは“最後の砦”とも訳すことができるだろう.大学病院は,患者が一縷の望みを託す最後の砦である.歯の保存を行う意識をもち,1本の歯を全力で残していくために知識と技術の研鑽を日々重ね続けていく必要がある.著者データ☞臨床形態 大学 専門開業 一般開業☞診療理念:優れた医療人の育成に努め,患者1人ひとりにあった最高水準の歯科医療を提供する.☞1日の平均来院患者数と内訳:患者は1日平均約150人(治療:メンテナンス=8:2). チェア数:16台☞スタッフの人数構成と勤務年数:歯科医師39名(1~40年),歯科衛生士7名(1~13年),歯科助手1名(1年).図1 第15回欧州歯内療法学会がローマで開催された際,発表する機会が与えられた.テーマは外科的歯内療法における逆根管充填窩洞形成の象牙質の歪について.一縷(いちゐ)の望みと最後の砦ラストリゾートLast Resort1根尖‐10mm根尖‐8mm根尖‐7mm根尖‐6mm根尖‐6mm東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医歯学系専攻口腔機能再構築学講座歯髄生物学分野連絡先:〒113‐8510 東京都文京区湯島1‐5‐45渡辺 聡 Satoshi Watanabe

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です