別冊 日常臨床で必ず使える! 歯内療法克服の一手
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108Part2 臨床家・大学人15人の“明日から役立つ歯内療法の診断・治療ダイジェスト”1.私の歯内療法への思い 歯内疾患(エンド)にしても,歯周疾患(ペリオ)にしても,口腔内の常在細菌による感染性の慢性疾患という共通点がある.したがって,細菌を除去することが治療の本質である.ただ,治療の成否は,ペリオが患者自身の努力に多く委ねられているのに対し,エンドはほぼ100%が術者の責任にかかっている.いい換えればごまかしが効かない(失敗の言い訳はできない).一方,外傷歯の多くは急性の非感染性の疾患といえる.したがって,治療のゴールは感染させないようにすることである.図1は,20数年前に上顎前歯部に外傷を受けた患者である.上顎左側中切歯に注目してほしい.劣悪な歯冠‐歯根比にもかかわらず,EPT(+)で機能も正常である.歯も歯髄も感染がなければ長持ちすることに驚く.著者データ☞臨床形態 大学 専門開業 一般開業☞診療理念: 創傷の治癒をきわめる.☞ 1日の平均来院患者数と内訳:110名(治療40名,SRP,メインテナンス40名,矯正30名)チェア数:10台☞ スタッフの人数構成と勤務年数:歯科医師8名(3年~35年),歯科衛生士10名(3年~18年),受付助手5名(1年~15年),歯科技工士1名(27年).図1a 38歳,女性.20年以上前に外傷の既往歴がある.はEPT(+)である.図1b の歯冠‐歯根比は極端に悪い.にもかかわらず,機能に支障は生じていない.20年以上経過した歯根破折歯外傷歯学が教えてくれた歯内療法の本質Traumatology Implicates the Essential Endodontics愛知県開業 月星歯科クリニック連絡先:〒497‐0050 愛知県海部郡蟹江町学戸6‐811月星光博 Mitsuhiro Tsukiboshi

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